【リマ國枝すみれ】南米ペルーの大統領選決選投票は5日、開票作業が進んだ。選挙監視機関によるサンプル調査によると、左派で元軍人のオジャンタ・ウマラ氏(48)が51.3%を得票し、右派でフジモリ元大統領の長女ケイコ・フジモリ氏(36)の48.7%をリードしており、ウマラ氏当選が確実な情勢だ。
選挙戦でウマラ氏は「経済成長はみんなのものでなくてはいけない」と主張し、高度経済成長から取り残された農村部で高まる不満を吸収した。左派のウマラ氏当選が確定すれば、コロンビアとチリを除く南米諸国のほぼすべてが左派政権となる。
ペルーの国内総生産(GDP)は00年から3倍に拡大した。だが、国民の3分の1にあたる約1000万人は貧困層にある。しかも農村部の貧困はより深刻で、栄養失調の子供も少なくない。
ウマラ氏は今回、社会政策として、65歳以上への月250ソル(約7340円)の年金支給▽子供への朝昼食・教材の無料配布▽最低賃金の月750ソルへの引き上げ--などを公約した。
だが、ウラマ氏は主要産業に対する規制強化の可能性に触れたため、経済界は「外国投資が冷え込み、急進左派のチャベス大統領が率いるベネズエラのようになる」と懸念を示していた。
一方、ケイコ氏は父親アルベルト・フジモリ元大統領(72)のマイナスイメージに足を引っ張られた格好だ。かつてのフジモリ政権はハイパーインフレを終わらせ、現在の経済発展の素地を作った半面、憲法を停止し国会を閉鎖。「非民主主義的な強権政治」との批判を浴びた。フジモリ氏はテロ掃討作戦で市民を殺害した罪で25年の禁錮刑の判決を受けて服役中だ。
毎日新聞 2011年6月6日 11時25分(最終更新 6月6日 12時55分)