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【福島原発事故】

福島第一 水配管津波前に損傷

2011年5月24日

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 福島第一原発の事故で、大津波が到達する前に、1、2号機の原子炉冷却に使う水タンクの配管などが地震によって損傷していたことが、東京電力の公表資料から分かった。東電は事故の主な原因を津波としているが、今回判明した損傷などの評価によっては、耐震設計の見直しも迫られそうだ。

 公開された三月十一日の地震直後の運転日誌や中央制御室の白板の写しには、津波が到達する三十分ほど前の午後三時六分、1号機では「純水タンク フランジ部(腕3本)漏えい確認」の記述がある。このタンクは屋外にあり、必要に応じて原子炉や使用済み燃料プールに冷却水が送られる。地震で配管の継ぎ目から水漏れが発生したとみられる。

 2号機では同十六分に、「コアスプレー」と呼ばれる非常時に原子炉を冷やす注水系統に不具合が生じ、警報が鳴った。タンクからの冷却水が漏れたとみられる。

 いずれのケースも、後に津波に襲われたため、どこまで原発の安全性に影響があったのか判別は難しいが、少なくとも注水経路の切り替えが必要になるなど初期対応に影響した可能性はある。

 現行の原発耐震指針では、圧力容器や格納容器、制御棒などは安全設計上最も重要な設備の「Sクラス」に分類され、建築基準法の三倍の強度が求められる。しかし、純水タンクはその二つ下の「Cランク」で、一般の建築物と同等とされている。

 1号機では、非常時に原子炉を冷やすための非常用復水器が本震直後から約三時間、止まっていたことが分かっている。東電はマニュアルに従って手動停止した可能性を強調しているが、地震による損傷の影響についても「否定はできない」としている。

 

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