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石川のニュース 【6月6日01時56分更新】
「やせる脂肪」に増殖法 金大グループ解明
人間の脂肪組織には白色脂肪組織と褐色脂肪組織の2種類がある。内臓脂肪に多い白色 脂肪はエネルギーをため込むのに対し、褐色脂肪は体の中の余分なエネルギーを熱に変え て放出する役割があることから「やせる脂肪」とも呼ばれている。褐色脂肪が活性化すれ ば体脂肪は減少するが、体内の限られた場所に少量しかなく、加齢とともに減少すること が応用面で課題だった。 研究グループは、肥満マウスの褐色脂肪で、あるサイトカインが著しく増えていること に着目。試験管内の実験で、脂肪細胞に分化する前の「幹細胞」にこのサイトカインを添 加すると、添加しない場合と比べて5〜20倍、褐色脂肪に分化しやすかった。褐色脂肪 細胞で重要な働きをする遺伝子「UCP1」も50倍近く増えた。 研究グループは、このサイトカインが褐色脂肪細胞への分化を促進したり、働きを高め たりすると結論付けた。 厚生労働省の2008年の国民健康・栄養調査によると、40〜74歳の男性のほぼ半 数、女性の約2割が「メタボリック症候群が強く疑われる」または「予備軍と考えられる 」とされている。研究グループではメタボ対策に向け、今後はこのサイトカインが人間の 体内で増加する仕組みを研究し、食品摂取によって効果的に増やす方法や新薬の開発など につなげる。 研究は檜井栄一准教授を中心に、寳田剛志助教、大学院生の中村由香里さん、高田紗矢 さん、創薬科学科4年の橋詰翔太さんが参加した。米田教授は「肥満防止は万病を防ぐこ とにつながる。企業などと連携し、実用化につなげたい」と話した。
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