2011年6月5日 21時7分 更新:6月5日 23時30分
沈み行くのは菅直人首相だけではない。東日本大震災に原発事故も加わった非常事態に85%から「機能していない」と断じられた国会も深刻だ。毎日新聞が4、5日実施した全国世論調査では「支持政党なし」の無党派層が過半数の53%に達し、国民の不信感が政治全体へ向けられていることを示した。
菅内閣の支持率は24%しかないにもかかわらず、内閣不信任決議案の否決は53%が「よかった」と回答した。復興対策を置き去りにしての不信任案提出自体を61%が評価しなかった。仕事をしない国会への失望感が政党離れとなって表れ、無党派層の割合は働き盛りの40代で64%、30代でも60%を占めた。
民主党内では小沢一郎元代表のグループが震災後も毎週、会合を開いては菅首相の政権運営を批判。国家的危機にも内紛を続ける同党への信頼も失墜した。民主・自民の大連立を望む36%の回答は、どちらにも任せられないという思いからの消極的選択だろう。
5月下旬、フランス、ベルギーを訪問した菅首相を迎えたのは、震災に立ち向かう日本人の尊厳と勇気への称賛だった。その被災地の姿と、「ポスト菅」の駆け引きが激化する政治の現状とのギャップ。この週末、被災地に入った民主党幹部は政治不信を肌で感じ、「もう相手にされていない」とつぶやいた。【平田崇浩】