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地球温暖化対策基本法案:修正試案、国際社会の批判確実

 ■解説

 地球温暖化対策基本法案は、「条件付きで、20年に90年比25%の温室効果ガスを削減する」という国際公約の実行を裏付け、政府が「日本の方向性を国内外に示す」と位置づける重要法案だ。削減目標だけでなく、主要施策に「国内排出量取引」や「地球温暖化対策税」などを明記したのも特徴だが、今回明らかになった修正試案は、これら要となるものをいずれも後退させた。ねじれ国会での法案成立を優先させるためとみられる。

 同法案へは野党・自民党が「05年比15%減」、公明党が「条件なしの90年比25%減」との対案を打ち出し、基本法が必要との認識では一致している。日本は2012年で削減の約束期間が切れる京都議定書の延長に反対しており、次期枠組みを議論する今年末の国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)に向け、「温暖化対策から逃げない方針を基本法で示さないと、交渉にならない」(閣僚経験者)との思いが与野党にあるのは間違いない。今回の修正では、国際社会に示すべき内容をいずれも削除や先送りした。しかし、「削減目標」などの重要論点こそ国会で合意点を探り、法案に明記することが必要なのではないか。これでは他国から批判が出るのは確実だ。【江口一】

毎日新聞 2011年6月6日 東京朝刊

 
 

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