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「裏山登っていれば…」疑問解消されぬまま 石巻・大川小説明会

 4日夜の説明会で保護者と宮城県石巻市教委・学校側のやりとりはかみ合わず、保護者の多くの疑問は解消されなかった。

 ◆40分間 
 市によると、市教委は昨年2月、津波災害に対応するマニュアル策定を各校に指示。柏葉照幸校長は「教頭らと3人で『裏山が考えられる』と話し合ったことはある」と説明したが、マニュアルに具体的な場所は明記せず、教職員にも周知していなかった。
 保護者からは「明らかに大川小の管理職の過失」との声が上がった。
 また、市教委は避難が遅れた理由について保護者や避難住民への対応を挙げたが、6年生の三女みずほさん(12)を亡くした佐藤かつらさん(45)は「マニュアルを整備し訓練していれば、引き渡しや住民対応、避難先の選定にも迷うことはなかったはず」と語る。

 ◆避難先の選定 
 児童が誘導された「三角地帯」は校庭より6、7メートル高い場所。説明会で市教委は三角地帯を「高台」と表現したが、保護者側は「あの高さは高台ではない」と反論。6年生の息子を亡くした男性(44)は「津波が来てしまったので急いで逃げただけではないか。避難とは言えない」と疑問を投げ掛ける。
 校舎に最も近い高台は裏山だ。市教委の聞き取りでは、地震の直後から裏山への避難を訴える声が教員や住民、保護者から出ていた。
 市教委の説明では、最終的に三角地帯を目指すまでの議論の詳細は明確になっていない。保護者からは「裏山に登っていれば、多くが助かったはず」「なぜ山を目指さなかったのか」との疑問が続出。市教委は「校庭に津波が来ることを想定していなかったことに加え、余震による地割れ、山崩れ、倒木の恐れがあったため」と説明した。
 一方で市教委は、無事だった男性教諭が4月9日の説明会で証言した「(裏山に)倒木があった」を「倒木があったように見えた」と訂正したことを明らかにした。

 ◆真相究明 
 震災当日に休暇だった柏葉校長は、その後すぐに遺体捜索に加わらなかった対応などを謝罪した。説明会に出席した亀山紘石巻市長も「学校管理下で起きたことを非常に重く感じている」と述べた。だが、学校も市教委も多数の犠牲者が出たことへの責任には触れなかった。これ以上、保護者への説明会を開く予定もないという。
 2人の子どもを亡くした父親(43)は「このままでは同じことが繰り返されてしまう。原因を究明し、今後に生かすべきだ。大川小だけの問題ではない」と話している。


2011年06月06日月曜日


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