4日死去した笹森清元連合会長(70)は、01年から05年まで連合のトップとして政権交代の旗振り役を務めた。かつて「連合のドン」と呼ばれた山岸章元会長のようなカリスマ性はなかったが、昨年10月からは内閣特別顧問を務め、菅直人首相の政権運営の「指南番」的存在だった。
菅首相を頻繁に訪ねる姿が目立った。先月18日には、日中韓首脳会談に関して「福島での3首脳そろい踏み」を首相に進言した。3月5日には前原誠司外相(当時)の外国人献金問題を巡り、首相官邸で首相、仙谷由人党代表代行(当時)に会い「内閣がこんなに低空飛行になってしまって、今さら尻込みしても意味がない。潔さを示すことが今の民主党に一番必要だ」と外相更迭を促した。
物議をかもしたこともある。3月16日、首相との面会後、首相の言葉として「(原発事故が)最悪の事態になったら東日本が潰れる」と記者団に明かし、首相が後で否定した。
笹森氏は昨年秋の民主党代表選までは月1回の割合で、小沢一郎民主党元代表と会談していた。菅氏と小沢元代表が争った代表選の最中も「この20年、連合内で小沢氏に一番近いのはおれだ。菅さんは与党の政治家としてはどうかな」と漏らしたほどだった。
しかし、代表選で小沢元代表が敗れると、菅氏の後見人的な言動が目立ち始める。そうしたスタンスの変化について明確な説明は見られなかった。【編集委員・中川佳昭】
毎日新聞 2011年6月5日 東京朝刊