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きょうのコラム「時鐘」 2011年6月6日
拉致問題が忘れがちになる中、1977年に能登半島で起きた「久米裕さん拉致事件」で告発状が出された
「拉致実行犯が国内にいるのに手を打たないのはおかしい」として「救う会」が適正な捜査を求めたのである。事件から34年、実行犯が国内にいる事実を知る人は少ない。この事件の特異さであり、説明の必要があるだろう 東京で警備員をしていた久米さん(当時52歳)は、拉致実行犯にだまされて宇出津に来た。民宿に宿泊の後、工作船に乗せられ姿を消した。実行犯は宿に帰ったところを石川県警に逮捕された。犯行の上部組織の人物が判明したが、国外に逃亡した 逮捕した実行犯を裁判にかけると捜査の手の内が分かるため起訴猶予処分で釈放された。拉致事件が知られていないころだった。スパイ事件とみて捜査している間に、北朝鮮の拉致は新潟や福井に拡大したのである。あの時に事件を明らかにしておけば後の拉致は防げたとの批判もあるが、悩ましいところだ 北朝鮮の拉致を、その時点で予測できただろうか。ともかく当局監視下で、あの時の実行犯は今も日本国内にいる。 |