2011年6月6日0時29分
忍法帖(にんぽうちょう)シリーズなどで知られる作家山田風太郎(1922〜2001、本名山田誠也)が旧制中学時代の友人に書いた直筆の手紙やはがきが見つかり、出身地の兵庫県養父市関宮の山田風太郎記念館に届いた。戦中から、有名作家になった1970年代までの計58通で、気が置けない友人に「忍術だからデタラメでも結構」などと冗談めかして記していた。
見つかったのは、兵庫県豊岡市の旧制豊岡中学時代の同級生で、青山学院大教授だった故・吉田靖彦さんあてに書いた手紙21通とはがき37通。2年前に吉田さんが亡くなり、家族が記念館に送った。記念館によると、山田と吉田さんは互いに読書家で、卒業後も交流を続けていたという。
「甲賀忍法帖」を発表した1958年には、滋賀県彦根市にいた吉田さんに7月、「甲賀、伊賀に旅行する」とはがきを送った。しかし、10月の手紙では夏の暑さや新連載の忙しさなどを理由に、「どうせ忍術なんだからデタラメでも結構だろうと横着をかまえることにした」と書いている。