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陸上:ディーン元気、急成長 やり投げで世界選手権視野に

関東学生対校選手権を自己新で優勝し、笑顔を見せるディーン=東京・国立競技場で2011年5月14日、井沢真撮影
関東学生対校選手権を自己新で優勝し、笑顔を見せるディーン=東京・国立競技場で2011年5月14日、井沢真撮影
関東学生対校選手権を自己新で優勝したディーン=東京・国立競技場で2011年5月14日、井沢真撮影
関東学生対校選手権を自己新で優勝したディーン=東京・国立競技場で2011年5月14日、井沢真撮影

 陸上の男子やり投げで、昨年の世界ジュニア選手権銀メダリスト、ディーン元気(19)=早大=が急成長を遂げている。09年世界選手権3位の村上幸史(31)=スズキ浜松AC=が持っていたジュニア日本記録を昨年11月に破ると、今季は2度も自己記録を更新。現役選手では村上に次いで2番目の79メートル台に乗せた。「条件が合えば81メートルくらい投げられる」と語るディーンは、8月開幕の世界選手権(韓国・大邱)代表を視界にとらえている。【井沢真】

 今月14日に東京・国立競技場で行われた関東学生対校選手権。その6日前の国際大会で78メートル90の自己新を出したばかりのディーンの体調は万全ではなかったが、集中力を高めた投てきで日本歴代4位となる79メートル10の大会新をマークした。世界選手権参加標準記録B(79メートル50)に、あと40センチ届かなかったことで「クソーッと思った」としつつも、「地力はつきました」と調整途上での好記録に自信は膨らんだ。観戦した村上も「若い選手の活躍は刺激になる」と闘志をかき立てていた。

 ディーンは父親が英国人で出身は神戸市。兵庫・市尼崎高では円盤投げが中心だったが、1年生の冬からやり投げも始めた。3年生の時には全国高校総体で円盤投げ、やり投げの投てき2冠を達成。両種目の2冠は、村上以来12年ぶりの快挙だった。

 高校時代のベストは70メートル57。早大入学後に日本陸連の田内健二・投てき副部長の指導で、体幹を鍛えるなどして才能が大きく開花した。公称は身長182センチ、体重85キロだが、実際の体つきは数字以上に背筋の厚みを感じさせる。上半身が前に突っ込まず、大きく後ろに引いた腕をムチのようにしならせる。助走で得たエネルギーを肩、肘、指先へと着実に伝える大きな腕振りは、天性のものだ。田内副部長は「ディーンの『しなり』は尋常ではないレベル。体をひねる独特の能力がある。まだ体はできていないが、5年、10年先が楽しみ」と評価する。

 来年のロンドン五輪の舞台は父の祖国で思い入れは深い。ディーンは「ロンドンへのステップにするためにも、まずは世界選手権」。あと40センチ。6月の日本選手権で参加標準Bの突破を狙う。

毎日新聞 2011年5月21日 10時03分(最終更新 5月21日 10時17分)

 

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