初めまして、イトマキです。今作が処女作で右も左も分かりませんが、なんとか頑張ります。
読者の皆様に注意していただきたい点が数点ございますので、何卒よろしくお願いします。
書こうと思った理由…驚愕での可愛さに痺れ、フェードアウトの速さに糸色望したから。
・作者は遅筆&文の量が少ない(ゆえに投稿ペースは一~二週間間隔かも)
・キャラ崩壊必至
・作者のメンタルは豆腐のようなもの(←重要)
・女主です
・キャラの立ち位置がそういう位置なだけに、アンチハルヒ気味になるかも
・話はスローペースで進みます(多分)急展開スキーには物足りないものになるかもしれません
・驚愕ネタバレ含む……かも(多分無い)
以上の七点に気を付けてください。三番目は大して気にしなくても結構ですが、可能なら何卒お願いします!(泣)
(5/31、20:00に投稿しようとおもったのですが、操作ミスを多発し取りやめました。
誤ってテスト板投稿→慌ててチラ裏へ移動→暫くしてなぜか両掲示板に重複してることに気付く→慌てて全削除
→テスト板だけ消したつもりがチラ裏も文章だけ消えてることに気付く→チラ裏も消して再度投稿しようとする
も制限がかかって投稿不可に→諦めて後で投稿することに決定。鯖に負担かけて申し訳ございませんでした。)
prologue ~橘京子はかく語りき~
どこかセピア色な世界、私は一人ゴーストタウンに佇んでいました。そこは孤独感こそあるけれど、どこか安心
する『空間』。悩める人間の理想を追求したかのようなそれは、日常というありふれた風景と同化していました。
どこかで見たことのある場所だと思ってはいたのですが、ここは……。
「以前住んでいた家です……ね」
正しくはこの世界に来る前ですが。ああ、すみません。可哀想な子だなんて思わないで下さいね? ……私は誰に
話しているんだか。これじゃあ自分から変人だって言っているようなものであって……。
…………。
ち、ちち、違うのです。大体こんなモノローグに自嘲しているのも、こんなブルーな気分になっているのも、本来
静寂であるべき場所に青いデカブツがいることに加え、それが刻一刻と私に近付いているからこそなのです。
……以前住んでいた、というのは言い得て妙ですが、間違っていません。
私は世界を渡りました。ほんの一、二ヶ月前のことです。
――そういえば、この『空間』には一度来たことがあるような気がします。そのときは今と少し雰囲気が異なって
いましたが。
うん、どちらかと言われればこちらの『空間』の方が好きですね。
まぁ、いいです。その話は追々余裕が生まれてからということで。まずは目先の問題に目を向けないと。
さて。問題の青い物体から逃げないのかと言われると、そもそも歩幅から考えて私が逃げおおせられる可能性は果
てしなく低いです。いっそのことこちらから向かっていく、というのもありますが、生憎自殺志願者ではないので。
ゆえに立ち止まっているわけです。
どっかで見たことあるんですよねー、あれ。なんて言うんでしたっけ。そう、確か神――
「痛っ……!」
このとき、私は頭の奥底からほとばしる重く鈍い痛みに思わず蹲ってしまいました。
……やっと収まった。なんだったんでしょう、あの痛み。……考えるだけ無駄ですね。
場違いな疑問からさっさと思考を放棄した私は、自分の行動方針を決めることにします。
取りあえず、あんな訳の分からない物体に踏み潰されて死ぬなんて嫌なのです。死因:UMAによる圧死、なんて
笑えません。
どうして紛争地域の多国籍軍駐屯地よろしく、こんなにも危険な場所に私はいるのか。
そんな初歩的な疑問が湧き上がり、このあまりにも理不尽な状況に愚痴をこぼしてしまいました。
淡いパステルカラーの赤色。ふと目についた喫茶店らしき建物にひとまず隠れることにした私は、厨房に身を潜
め、食糧が冷蔵庫にあることを確認しました。
「良かったわ……あった。これで当面は飢えに苦しむことはないのです。それにしても」
電気が通ってる? どういう道理で通っているのですかね。やはりこの『空間』には人間が住んでるのでしょうか?
訳が分からないよ。
そんな取り留めもないことを考えていると、天窓には彼の姿が……。彼女でしょうか?生物学的にはどっちなんで
しょうね?
一つ言えるのは私に逃げる気力など微塵も残っていないということでした。
沈黙のままにこちらを見つめるそれに、思わず苛立ちがこみ上げます。
「んんっ! もうっ! いい加減殺るなら早く終わらせなさ……」
刹那。突如沈黙を破った青色は、トンネルより一回り大きいその腕を勢いよく振り上げ、振り下ろしました。
言うまでもないですが。続きの言葉が紡がれることはなく、私の意識はそこで途切れました。
――最悪な夢見って正に最悪なのです。ああ、重ねて言っちゃった。アホな子って思ったそこの貴方は、今なら
罰金千円で許してあげます。え? 貧しい子ですって? ……うるさいです。
どうも、初めましての方もそうでない方も。橘京子です。なお、後者の方は住所氏名を明記のもと、厳正なる調査
を行います。冗談ですけどね。今私は優雅なる惰眠という名目で、授業を居眠りしています。えへん。褒めても何
も出ませんのであしからず。
「よく眠れたようだな、橘」
いえす、まいてぃーちゃー。それはもうばっちり。
「そーかそーか、そりゃあ良かった。授業を進めても?」
どうぞどうぞ。
「よし。それでは諸君、次の分野に移るぞ。『山椒魚』のページを開きなさい」
さ、さーてそろそろ学生の仕事に戻るとするのです。アディオス。
「橘は後日反省文を提出するように」
くすん。
渾身の猫かぶりはこの堅物には通用し得なかったようで、彼は路傍の石に対する扱いのごとく私をスルーしていき
ました。
こら、私の右隣の男子。笑うんじゃない。
漸く拘束時間は終わり、友人たちと取り留めもない世間話をして帰宅します。
夏に突入し始めた外気は、思いのほか私を追い詰めました。
天候すら私を苦しめる一因にしかなっていない現状に軽く絶望しつつ、蒸留水みたく澄み切った青空に呪詛を吐い
てる内に、そんなつまらない苦しみはいつの間にか消えてしまいました。
やはり怒りはどこかにぶつけないと、より陰鬱な気分になりますね。
「――でさー、聞いた? 東中の怪事件!」
あらら、全然会話に入っていませんでした。
東中の怪事件というのは、諸説あるのです。
曰く、教室中の机を校庭に並べて不可解な図形を組み立てた女生徒の噂。
曰く、学校中にお札やらいわくつきの品々を配置したあげく、仕舞には校長の頭にお札を張ったという女生徒の噂。
……同一人物? だとしたら随分とおめでたい思考の持ち主だことで。
お前はどーなんだという意見は、締め切りました。
「実行犯は明らかになっているのですか?」
「おっ、やーっと興味を示したみたいだね? そうだよ、もう分かってるみたい。犯人もハナから隠すつもりなか
ったんでしょ。っても緘口令が引かれてて、実名までは分からないけどね?」
会ってみたいか、と言われるとそうでもない。
だけど。
そんなにも自由気ままな人生が送れているのなら。
その子には、それなりのストレス発散法をもってたりするんだろうかって、私は思ったのです。
家に着こうとも、別段なにをするわけでもなく。要するに暇でした。
こんなことなら友人の誘いを無下にするんじゃなかった、と嘆くのも仕方ないのです。
一人部屋にしては割と広めな私の部屋は、主のガサツさを如実に示すかのように小物が散らかっています。さすが
に壊れた目覚まし時計が放置されているのは、私自身どうかと思いますが。
「…………」
キャスター付きの椅子に寄りかかって、足をブラブラさせているその様は駄々をこねる赤子と大して変わらないか
もしれません。
ぼすっとキャラものの絵柄の入ったファンシーな枕に顔を埋めて物思いに耽る様は、さながら滑稽だったでしょう。
堪えることのできない溜息を噛み殺して、私は丁度二ヶ月前のことを思い出していました。
ギシリ。
背もたれに体重を預けて瞼を下ろすだけで、今でも鮮明に思い出せる。
そう、あの日。平和だった日常が脆くも崩れおちた日。思えばあの日が人生の転換期だったんでしょうか。思わず
眉間にしわが寄るのを押さえられません。
四月某日某所、この世界ではない場所にて。
私は超能力に目覚めた。