2011年4月9日 20時31分 更新:4月9日 23時15分
東京電力は9日、東日本大震災による福島第1、第2原発の津波の被害調査結果を公表した。第1原発では、原子炉建屋などの主要部分がほぼ全域で深さ4~5メートル浸水していた。
第1原発を襲った津波の第1波は地震発生41分後の3月11日午後3時27分、第2波はその8分後の3時35分ごろ。東電は震災前、5.7メートルの津波を想定していたが、それを大幅に上回る14~15メートルだったとしている。同原発1~4号機の敷地の高さは海面から約10メートルで、それを超えた約4~5メートル分の深さでほぼ全域が浸水。建屋2階まで水に襲われ、海水の取水ポンプなど周辺の機器などが被災した。被害が少なかった5、6号機は敷地の高さが13メートルあり浸水は最大1メートルだった。
大きな被害のなかった福島第2原発でも津波は想定(5.2メートル)を超え、1号機南側で同じ14~15メートルの高さだった。しかし、原子炉建屋など主要部は、海面から高さ12メートルで手前が階段状の地盤になっていたため、浸水は1号機南側で最大深さ2~3メートル、2~4号機で30~40センチにとどまった。敷地の高さの違いについて、東電は「原子炉建屋が立地する岩盤の高さが違うため」と説明した。
一方、東電は9日、福島第1原発2号機のタービン建屋地下などで見つかった非常に高濃度の放射性汚染水を復水器(容量約3000トン)に移すため、復水器内の水を復水貯蔵タンクに移した。「玉突き作戦」で、10日にも汚染水を復水器に移送する予定で、作業を円滑にするためにタービン建屋を貫通する穴を開けた。
また、2号機の高濃度汚染水を収容するために続けてきた、集中環境施設内の比較的低レベルの汚染水の海への放水量は7700トンに達した。
このほか、9日には2号機の取水口付近から一時、海に流出した高濃度汚染水の対策では、汚染水の拡散防止のため、取水口の七つの門すべてに鉄板をはめて閉じる作業に着手した。【山田大輔、江口一、藤野基文】