2011年4月9日 18時27分 更新:4月10日 1時53分
【ワシントン古本陽荘】米連邦政府の暫定予算の期限が切れる8日、11会計年度(10年10月~11年9月)の予算案について与野党は約390億ドル(約3兆3000億円)を削減することで大筋合意した。これにより連邦政府の一時閉鎖という最悪の事態は回避された。
法案策定作業は同日中には間に合わないため、上下両院は1週間の暫定予算案を賛成多数で可決し、大統領の署名で成立。11年度予算案については来週中には成立する見通しとなった。
与野党の合意が発表されたのは暫定予算の期限が切れる約1時間前の午後11時ごろという土壇場だった。
オバマ大統領はホワイトハウスから「有意義な妥協がいつもそうであるように、双方とも厳しい決断をせざるを得なかった。予算削減は痛みを伴うもので、(経済)環境がよければこのような削減は行わなかった」との声明を発表した。
また、共和党のベイナー下院議長は「長い戦いだった。財政削減を求めて戦ってきたのは、雇用創出の環境改善に役立つからだ」と記者団に語った。
今年度予算をめぐっては、連邦政府の役割縮小を求める保守派の草の根運動「ティーパーティー」の圧力を受け、大胆な財政削減を求める共和党と、極端な財政削減は経済成長の妨げとなると主張するオバマ大統領・民主党との間で対立が続いてきた。会計年度が始まったのは昨年10月で、半年たっても予算が成立しない異常事態に陥っていた。
8日中に与野党が合意できなかった場合、連邦政府の多くの機能が停止し、約80万人の政府職員が一時的に休職状態となることが想定されていた。全米の国立公園や博物館が閉鎖され、パスポートやビザ発給などの業務が停止される可能性があった。