2011年4月9日 11時27分 更新:4月9日 13時24分
銃刀法違反(共同所持)で服役していた指定暴力団山口組6代目組長、篠田建市(通称・司忍)元受刑者(69)が9日朝、東京都府中市の府中刑務所を出所した。警察当局は、集中取り締まりで打撃を受けた山口組が、組長復帰を契機に組織の立て直しを図るとみて警戒を強めている。
篠田組長は午前5時50分ごろ、数十人の警察官らに取り囲まれて府中刑務所を出て、迎えのワゴン車に乗り込んだ。午前9時15分過ぎ、茶色の帽子に黒いサングラス、黒のコート姿で、JR品川駅から新幹線に乗車し、正午前にJR新神戸駅に到着。神戸市灘区の3代目組長の墓を参拝した後、同区内の山口組総本部に入った。
篠田組長は名古屋市を拠点とする弘道会出身。護衛役の組員が拳銃を所持していたとして98年に大阪府警に逮捕された。保釈中の05年8月に6代目組長に就任したが、同12月に懲役6年の有罪判決が確定し収監された。その後も、山口組は傘下の組長を兵庫県内に滞在させ、総本部への日参を指示するなど引き締めを進めてきた。
警察当局は09年10月、山口組と弘道会への集中取り締まりに着手。これまでに山口組直系組長33人、弘道会直系組長と幹部計71人を検挙した。昨年11月には山口組若頭で弘道会会長の高山清司被告(63)が京都府警に恐喝容疑で逮捕された。弘道会出身のトップ2人が不在となったことで、山口組内部での力関係に変化が起きているとの見方もある。
一方、公共事業からの締め出しや指定区域での事務所の開設を禁止する暴力団排除条例は、これまでに沖縄県を除く46都道府県で制定された。このうち24道府県は今月1日に一斉に施行。6県では3月までに既に施行されている。みかじめ料など暴力団への利益供与に罰則を設けているケースもあり、資金獲得への歯止めの効果も期待されている。
警察庁によると、10年末現在、山口組の構成員は約1万7300人、準構成員は約1万7600人。弘道会の勢力は約3600人で、接触しない▽組事務所に入れない▽逮捕後は黙秘--など反警察姿勢で知られる。