2011年4月8日 20時23分 更新:4月9日 0時18分
福島第1原発事故で東京電力は8日、集中環境施設から続けられていた低レベルの放射性汚染水の海への放水が同日午後、ほぼ終了したと発表した。福島第1原子力保安検査官事務所と東電は同日、集中環境施設内に震災後初めて入り、2号機タービン建屋地下などにある高濃度汚染水の貯蔵先として適当か確認作業を始めた。
同事務所などによると、施設内には土砂や木の根などが入り込み、エレベーターが壊れるなど様相が一変していたが、外部とつながる配管部分や壁に亀裂などはなかったという。保安検査官は「予想以上に津波の影響が大きく、水を移送する前に内部を念入りに確認する必要がある」と話す。
東電によると、高濃度汚染水を最短距離で集中環境施設へ移送するため、2~4号機タービン建屋を貫通する穴を開け、そこにホースを通す作業を進めている。建屋内を通すことで、ホースから出る放射性物質の影響をできるだけ避ける狙いがあるという。
5、6号機の地下水の低レベル汚染水計約1500トンも4日夜から海へ放出されており、10日にも終わる見通し。
1~3号機タービン建屋地下には高濃度汚染水が計約6万トンあり、冷却機能の復旧作業の大きな障害になっている。集中環境施設は地下だけで約3万トンの水をためることができる。【江口一、藤野基文、山下俊輔】