2011年4月8日 19時50分 更新:4月8日 23時48分
政府は8日、放射性物質で汚染された農地でのコメの作付けを制限することを決めた。土壌中の放射性セシウムが1キログラム当たり5000ベクレルを超えた場合、原子力災害対策特別措置法に基づき、作付けを見合わせるよう関係自治体を通じて指示する。対象地域は今後、関係自治体と協議して決める。枝野幸男官房長官と鹿野道彦農相が同日、それぞれ記者会見して発表した。
また、作付け制限の対象とならなくても、福島第1原発周辺の地域では収穫後の玄米を検査し、放射性セシウムの含有量が食品衛生法上の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超えたものは出荷見合わせとする。いずれも、対象農家には東京電力や国による十分な補償が行われるよう万全を期すとしている。
土壌調査の結果と作付け制限の対象地域は、週明けにも発表される見通し。既に福島県による独自調査で同県飯舘村、大玉村、川俣町の一部で5000ベクレルを超える放射性セシウムが検出されているが、改めて検討する。
土壌汚染については、農林水産省がコメの作付け時期が迫っていることから、その可否を判断する基準作りを進めていた。半減期が長い放射性セシウムについて、59~01年に全国17カ所の水田と収穫されたコメの測定データを基に分析した結果、土壌から玄米に吸収される比率を10%と算定。米や麦などの穀物は食品衛生法の暫定規制値が1キロ当たり500ベクレルであることから、逆算して5000ベクレルを上限とした。算定した比率は専門家に妥当とのお墨付きを得ているという。【行友弥、佐藤浩】