2011年4月8日 19時32分
内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景気実感を3カ月前と比べた現状判断指数は前月比20.7ポイント減の27.7となり、00年の調査開始以来、最大の落ち込み幅を記録した。東日本大震災で消費が冷え込んだうえ、被災や計画停電で生産活動に支障を及ぼしている実態を裏付けた。景気の総合判断も「持ち直しの動きが見られる」から「急激に厳しい状況になっている」に変更し、6カ月ぶりに下方修正した。
調査は景気動向に敏感な小売店、企業経営者、タクシー運転手ら2050人を対象に3月25~31日に実施し、1848人(90.1%)から回答を得た。
地域別の現状判断指数で最も落ち込みが目立ったのが、震災で深刻な被害を受けた東北で、前月比32.1ポイント減の16.8。停電のあった関東も同24.2ポイント減の22.1に低下した。東海以西の地域は落ち込み幅が同9.2~18.6ポイントにとどまった。
2~3カ月先の景況感を示す先行き指数も全国で同20.6ポイント減の26.6となり、過去最大の落ち込み幅を記録。地域別では東北が同26.5ポイント減の21.1に急落し、他地域も軒並み20ポイント前後落ち込み、景気の先行き不透明感が全国的に広がっている状況を浮き彫りにした。
現状判断では、回答者の57.2%にあたる1057人が大震災についてコメント。「停電で休業などを余儀なくされ、客数が約30%強落ち込んだ」(南関東のショッピングセンター)、「外国人観光客の予約が3カ月先まですべてキャンセル」(北海道のホテル)、「取引先で甚大な被害があり、製品を納入できない」(北関東の製造業)などの懸念の声が相次いだ。【谷川貴史】