2011年4月8日 2時33分
政府と東京電力は7日、地域ごとに順番に電気を止める計画停電を原則廃止する「終了宣言」を8日にも出す方針を明らかにした。停電は企業や家庭への影響が大きいと判断、4月中は大きな冷え込みで暖房需要が急上昇するような事態がない限り、原則、計画停電を行わない。一方、冷房需要が高まる夏場に向けて、政府は電気事業法27条に基づき強制的に電力使用を減らすように求める電力使用制限令の発動も含めた抜本的な対策を講じる方針で、8日午前に開く全閣僚参加の「電力需給緊急対策本部」で骨格を決める。
政府は8日の「電力需給緊急対策本部」で、冷房需要が高まる7~9月の電力需給見通しや、節電対策を提示する。具体的には、東電と東北電力管内で、夏場の電力需要ピーク時の供給力が1830万キロワット程度不足する想定。ガスタービン発電の増設などで供給力を550万キロワット程度増やし、残りの約1300万キロワット弱を需要抑制で対応する。
契約電力500キロワット以上の工場を持つメーカーなど大口需要家には、7~9月の平日午前10時~午後9時の電力使用量を昨年比25%程度削減する目標を設定し、法的措置を講じる。また、中小企業などの小口需要家は20%、家庭にも15~20%の自主的な使用抑制目標を設ける方向だ。
ただ、電気事業法に基づく使用制限は「最後の手段」(経済産業省幹部)と位置付け、削減目標達成に向けて、企業には操業時間の早朝・夜間へのシフトなど節電対策の徹底を求める。家庭に対しては、節電対策や電力需要の見通しを知らせる「電気予報」を提供、協力を呼びかける。
夏場に向けた電力使用削減策の骨格が固まることを受けて、政府と東電は、計画停電は原則実施しない方針を表明する。【宮崎泰宏、新宮達】