2011年4月7日 20時56分 更新:4月7日 22時38分
政府は7日、福島第1原発事故で避難指示を出している半径20キロ圏内の住民の一時帰宅について少人数ごとに段階的に実施する方針を固めた。実施にあたっては同地域を「警戒区域」とし、帰宅後は全員退去させるよう検討する。東日本大震災から1カ月の11日にも基本方針を示す。また、20~30キロ圏内への屋内退避指示を避難指示に切り替える準備を進めており、各地での放射線量の測定値に基づき最終判断する方針だ。
避難住民は貴重品などを持ち帰るための一時帰宅を求めている。枝野幸男官房長官は7日の記者会見で「実現できないか検討を進めている」とする一方、時期は「そんなに早いとは想定できない」と述べるにとどめた。
20キロ圏内では自衛官や警察官が防護服を着用し、放射線量の測定機器を付けて作業。枝野氏は「住民の皆さんも同様か、それに準ずる対応が必要だ」と指摘。「順番に段階的に少人数で、という形で始めたい」と語り、地域を区切るなどして実施する考えを示した。
国の原子力災害現地対策本部によると、20キロ圏内には2市6町2村の約8万人が居住。実施には希望者への周知・募集や、移動手段を持たない住民への車の手配、警察官・自治体職員の配置などが必要で、「準備に1カ月単位の時間がかかる」(福島県南相馬市の担当者)との見方もある。実施にあたっては、災害対策基本法に基づき立ち入り禁止や退去を命じることができる「警戒区域」を設定することも検討している。
また、枝野氏は会見で屋内退避の避難指示への切り替えにあたり、「累積での放射線量について、どういう基準で避難したらいいか(専門家に)検討してもらっている」と述べた。新たな避難指示は、実際に高い放射線量が測定された地域に限定する可能性を示唆した。内閣府原子力安全委員会は、累積被ばく放射線量50ミリシーベルト以上という現行基準に関し、20ミリシーベルト超に下げるよう6日に政府に伝えている。【影山哲也】