2011年4月7日 20時51分 更新:4月8日 0時24分
トヨタ自動車が米マイクロソフト(MS)と、電気自動車(EV)など次世代自動車向け情報技術(IT)分野での共同開発で提携したのは、車内でインターネット情報を自在に利用できるシステムの開発と同時に、家庭用電源でEVやプラグインハイブリッド(PHV)に効率よく充電するなど、ITを生かして車と住宅の電気のやりとりを制御するソフトを開発する狙いがある。さらに、家庭の暖房や照明など電化製品の遠隔操作も可能にし、EVなどを省エネ効果の高い次世代送電網(スマートグリッド)の基地とする考えだ。
「未来の車利用やエネルギー管理の発展に向けた重要なステップとなる」。豊田章男社長はインターネットを使った会見で、MSとの提携の意義を強調した。
トヨタは12年から日米を皮切りにEVやPHVを販売する計画だが、成否のカギを握るのがITの活用という。航続距離が限られるEVでは、充電スタンド情報などが重要で、「テレマティクス」と呼ばれる車に搭載する情報管理システムの高機能化が不可欠だ。また、スマートフォン(多機能携帯電話)で、自動車の充電をセットするなど遠隔操作なども可能にしたい考えだ。
これらの新機能を世界中で使えるようにするには、世界各地にソフトを提供するデータセンター構築に巨額の投資が必要となる。これを避けるため、ネットを通じてソフトなどを必要な時に呼び出して使えるMSの「クラウドコンピューティング」を活用し、効率的に情報を収集。ユーザー負担を抑えたい考えだ。
また、トヨタは提携で、家庭の電気使用量を把握しながらEVに充電するなど、電力使用を効率化する「スマートグリッド」への取り組みも強化する方針だ。
トヨタは青森県六ケ所村でPHVを使って家庭の電力消費の効率を高める住宅システムの実証実験を昨年から行っている。太陽光発電で作った電力を、住宅にもPHVにも使うなどして、省エネを進めるものだ。ただ「寒い日に充電できない」(トヨタ幹部)など課題も多く、MSとの新技術開発などで乗り切る構えだ。【米川直己、工藤昭久】