6月2日、民主党代議士会で質問を受ける菅首相(左)。震災対応に一定のメドがついた段階で、自発的に退陣する考えを表明していた(AP/アフロ)
年明けまでの続投意欲を示し、2日の「辞任宣言」を撤回した菅直人首相。4日の社説では、毎日新聞を除く全ての全国紙が首相を痛烈に批判する異常事態になっている。
産経は「国民愚弄にも限度がある」と激怒。菅政権の擁護派だった朝日も「菅さん、それはない」と呆れ果てた。読売は菅首相の辞任宣言を「延命を図るための方便」と切り捨てた。そんな中で唯一、毎日だけが「不毛な政争を蒸し返すことは、厳に慎まねばならない。」と首相の続投を支持。「(菅首相は)ペテン師だ」と辞任を迫っている鳩山元首相を「理解できない」と非難し、独自路線を貫いた。
6月2日、首相は震災対応に一定のメドがついた段階で、自発的に退陣する考えを表明していた。このとき鳩山氏は「復興基本法が成立し、第2次補正予算案の編成にめどが立った段階での辞任で合意している」と補足。特に首相は否定しなかった。辞任宣言と捉えた多くの民主党議員が反対に回り、内閣不信任案は否決された。
ところが、その日の夜から、首相は態度を一変。会見で「(福島第一原発の)冷温停止が一定のメド」と述べ、辞任時期を来年1月以降だと示唆した。3日の参院予算委でも、「大震災の復旧、復興こそが重要であり、原子力事故の収束こそが最優先。一定のメドがつくまで、是非とも私にその責任を果たさせていただきたい」と続投への意欲を燃やしている。
こうした菅首相の変貌っぷりを各紙の論説委員はどう見たのか。詳しく見ていこう。(以下、太文字が各紙の見出し)
菅首相「続投」 国民愚弄にも限度がある(産経新聞)
まずは産経。鳩山氏が菅首相と交わした約束について、
内閣不信任決議案採決という重大局面で、最高指導者と前任者の約束のいいかげんさにもあきれてしまうが、これ以上の居座りを画策する首相の姿勢は国民を愚弄するものだというほかない。と痛烈に批判。
存在自体が「人災」と呼ばれてきた首相が、さらに「死に体」となった今、未曽有の震災への対応に「めど」をつけることなど困難だ。即刻、退くしかあるまい。として、今すぐにでも辞任することを要求している。原発事故に「一定のメド」がつくのを、辞任条件に掲げていることにも、次のように触れた。
原発事故はそもそも、首相の対応のまずさで事態が悪化したとされる。その収束が延命理由に使われていいものか。と、怒りを露わにしている。
「一定のめど」菅さん、それはない(朝日新聞)
次に、2日の朝刊から方針転換し、菅首相に批判的になった朝日だ。
辞意を表明した菅直人首相が一転、続投をめざすそぶりだ。おととい夜の記者会見でも、きのうの参院の審議でも「辞任」を口にせず、わけがわからない状況に陥っている。と、戸惑いを表明。菅首相が2日の党代議士会で「辞任宣言」と受け取られる発言をしたことに対し、
もともと、危機の中で「菅おろし」に走った与野党議員は無責任の極みだった。「菅さん」というフレンドリーな呼びかけではあるが、愛想が尽きたようなトーンだ。そして、こう続ける。
それでも菅首相は世論の支持を得られず、不信任されそうになった。
そんなとき、国民注視のなかで飛び出したのが「一定のめど」だった。
結果的に、与野党議員を欺いた発言に、「菅さん、それはないでしょう」というしかない。
いったん辞意を口にした首相が、退任時期を示さないまま地位にとどまり続けるのは無理がある。政治不信をさらに膨らませるだけだ。復興基本法や第2次補正予算案など当面の課題を解決したら辞任し、党代表選を急ぐように呼びかけていた。
首相は、いつ辞めるのか。それは年内の遠くない時期というのが常識的だろう。期限付きの首相として、大震災関連の予算や法案づくりを急ぐのだ。
| 1 | 2 |
BLOGOS編集部 最新記事
- 【新聞チェック】菅首相の続投宣言に呆れ果てる各紙、首相の味方は毎日新聞だけに- 04日17時00分(99)
- 【新聞チェック】「新代表 速やかに選べ」朝日新聞まで菅首相を見限る- 03日18時09分(111)
- 【BLOGOSチャンネル】経産省現役官僚 古賀茂明氏が語る 「守るべきは東電でも株主でも銀行でもない」- 03日16時30分(7)
- 原口一博前総務大臣 内閣不信任案に反対票を投じた理由- 02日23時00分(372)
- 「福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた」原口氏が衝撃の告発- 02日18時55分(1856)
- 内閣不信任案、64%が「可決されると思う」- 02日12時45分(9)
- 内閣不信任案が否決、菅首相「メドついたら辞任」の表明を受けて小沢氏ら方針転換- 02日12時44分(190)
- 【新聞チェック】「無責任にもほどがある」「人災に決別を」 内閣不信任案で割れる各紙の社説- 02日11時13分(118)
- 【新聞チェック】「君が代強制で裏声になる」東京新聞の奇妙な社説- 31日12時35分(107)
- 【押し紙裁判会見】新潮社・黒藪氏敗訴「プライドがあるなら言論で主張すべき」- 30日14時00分(124)
BLOGOS アクセスランキング
- なぜ山本太郎や室井佑月「安全主義」が政策上無視されるのか? - 04日00時00分(93)
- 本当は恐ろしい日本的雇用慣行 - 04日12時55分(97)
- 政治家としての命脈が尽きた菅首相 - 04日11時22分(50)
- 一般的には小児の方が放射能に強い - 03日09時00分(531)
- リチャード・ギアと山本太郎に思う - 04日08時23分(421)
- せめて菅首相には鳩山首相の愚を繰り返さないでもらいたい - 05日06時50分(38)
- 【新聞チェック】菅首相の続投宣言に呆れ果てる各紙、首相の味方は毎日新聞だけに - 04日17時00分(99)
- 「冬の兵士」とウィキリークスがあらわにする戦争の姿 - 04日18時30分(15)
- AKB48総選挙の結果を統計学で予測してみる - 03日20時16分(51)
- 「福島第一原発の安全装置は8年前に外されていた」原口氏が衝撃の告発 - 02日18時55分(1856)