那覇市から3月末に生活保護支給を停止された同市内の60歳女性が4日までに、停止処分前の市の就労指導は不適切で、処分の手続きは違法として、市を相手に停止処分の取り消しを求める訴えを那覇地裁に起こした。5月26日付。女性は収入がなく、所持金もわずかなことから「生命や健康にも深刻な悪影響を及ぼしている」とし、一時的な支給開始を求め、処分の執行停止も同地裁に申し立てた。
また、行政不服審査法に基づき同日付で県に処分取り消しを求める審査請求も行っている。
女性や代理人弁護士によると、女性は一人暮らしで2009年10月から失業状態となり、同12月1日から生活保護を受け始めた。受給前の同11月に高血圧症、翌10年7月には腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症と診断され、足のしびれで歩行にも困難を来しているという。
訴状などによると、女性は市から同12月に、週5日以上、1日4時間以上の就労と継続就労を文書で指示された。代理人弁護士は、市側の指示内容が県内の景気や雇用情勢、女性の年齢を考慮すれば「生活保護の受給者に無理を強いるもので不適切だ」と批判。女性はこれまで月8日以上の就職活動をしており、就労できていないのは女性の責任ではないと主張した。
さらに、市が支給停止という不利益処分をしたにもかかわらず、停止される期間を明示していないことは、生活保護対象者がいつまで同様な状況に置かれるのか分からず、行政手続法などに反すると批判した。
市保護管理課の宮里隆課長は、沖縄タイムスの取材に「女性の担当医師によると、軽労働は可能とのことだった。市としては就労できると判断し、指導してきたにもかかわらず従わなかったので停止した。指示内容は適切だ」と反論。停止期間を明示していない点には「コメントできない」と述べるにとどめた。(伊集竜太郎)