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青森知事選:原発論争政党及び腰 2新人は是非前面に

 19日告示された青森県知事選(6月5日投開票)は、東京電力福島第1原発の事故を受けて原子力政策が争点となっている。民主、国民新両党が無所属新人を推薦する一方で、自民、公明両党が3選を目指す現職を推薦し、共産党が公認候補を立てる与野党対決の構図。菅直人首相がエネルギー政策の見直しを表明するなか、選挙結果は国の原子力政策にも影響を与えそうだ。【高橋真志、山本佳孝、野口武則、念佛明奈】

 「計画中の2基は凍結する」

 民主、国民新推薦の山内崇氏(56)は19日の第一声で、県内の原発新設計画の凍結方針をアピールした。共産公認の吉俣洋氏(37)も「原発依存から抜け出す」と述べ、脱原発と自然エネルギー開発を主張。出馬表明が今年1月と出遅れた山内氏は、原発政策を対立軸にしており、候補者間では原発是非論が熱を帯びている。

 ただし、山内氏を擁立した民主党は、苦しい対応を迫られている。岡田克也幹事長は15日、青森県入りし、地元首長に「原発が全部止まると、電力が足りなくなる」と表明。電力の安定供給を重視する党幹部と山内氏の主張はかみ合わない。

 岡田氏は19日の会見で、山内氏の主張に対し「そごはない」と強調した。しかし、山内氏が原発問題で踏み込んだ発言を続ければ、党本部との足並みの乱れが表面化しかねない。このため、党執行部は幹部の現地入りも最低限にとどめる方針だ。

 原発問題を争点にしたくないのは、自民党も同じ。与党時代に政府の原子力政策を推進してきただけに、原発問題の論戦は自民批判につながる。同党の谷垣禎一総裁は19日の会見で「どういう復興をしていくかが争点になる」と述べ、復旧・復興を重点的に訴える考えを示した。

 選挙戦の構図を複雑にしているのは、原発や核燃料再処理施設が集中する青森県の事情もある。81~2009年度、国から県内の自治体が受け取った電源三法交付金は約2000億円。原子力事業者が納める核燃税は今年度156億円に上り、県税収入の13%を占める原子力依存県だ。

 原発が立地する東通村の60代女性は「事故は心配だが、息子は原発で仕事をしている。原発に必ずしも反対ではない」と語った。自民、公明推薦で3選を目指す三村申吾氏(55)は第一声で、原発政策の大きな見直しに言及せず、「県独自の安全検証委員会を設置する」と述べるにとどめた。

毎日新聞 2011年5月20日 7時51分(最終更新 5月20日 8時06分)

 

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