毎日新聞が実施した知事選に関する有権者アンケートで、県内にある原子力施設の運転再開に対する賛否は、支持政党を超えて拮抗(きっこう)していることが分かった。一方、新設については、反対意見が賛成意見の2倍を超えた。東京電力福島第1原発の事故が長期化する中、安全性への信頼が揺らいでいると言えそうだ。
アンケートの結果によると、既存の原子力施設の運転再開をどう考えるかとの質問に、「賛成」「心配だが経済面を考えて容認」との回答は計45%。これに対し、「反対」「現状では容認できない」の回答も43%あった。
一方、新設をどう考えるかには、「賛成」「心配だが経済面を考えて容認」が計26%に対し「反対」が44%。「現状では容認できない」を加えると計56%に上った。経済的恩恵を考えても、事故への不安などから慎重な姿勢が強まっている様子が浮かび上がった。
こうした状況の中、候補者3氏の原子力政策の違いについては、「分かる」と回答した人が約3割にとどまった。「分からない」が約7割に達し、3氏の訴えが十分に届いていないのが実情だ。
「投票する候補者を決めている」と回答した約7割の人のうち、その理由を実績や経歴を含む「人柄」と答えた人が約3割に上った半面、「公約」が決め手となった人は「政党の公認や推薦」と並ぶ1割強にとどまった。
公約の中で決め手となった項目では、「経済・雇用対策」が2割で最も多く、「原子力政策」と「教育・子育て」、「震災復興」がそれぞれ約1割で続いた。【まとめ・高橋真志】
毎日新聞 2011年6月4日 地方版