憂楽帳

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憂楽帳:めどが立たない

 「めど」という言葉は一般社会と永田町で大きく意味が違うらしい。菅直人首相が2日の民主党の代議士会で東日本大震災の「復旧・復興、原発事故の収束に一定のめどがつき、やるべき役割を果たせた段階で、若い世代に責任を引き継ぎたい」と表明した。これに対し鳩山由紀夫前首相は「首相が重大な決意を自身の言葉で述べられたと私は理解する」と応じた。ちまたでこの会話を聞けば、「いずれ辞めるけどしばらくがんばるよ」「了解した。震災対応はしっかり支えていくよ」という意味にしかとれないが、今になって「話が違う」と騒ぎになっている。

 「めど」という言葉は、「7月をめどに」など具体的な日時とセットで出てくることが多い。だから「『めど』とはいつのことか」という話になるのだろう。しかし被災地の復興が「めどが立たない」状況なのは日々被災地からの報道を見るだけでも明らかだ。

 裏でどんな約束があったにせよ、めどの立たないものをめどといい、それを絶賛した妥協のやりとりへの怒りを被災地と共有したい。【吉田慎一】

毎日新聞 2011年6月4日 12時24分

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