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東日本大震災:津波被害逆手に「塩トマト」 新たな特産に

「僕がやる」と言い、塩トマトの苗を植える子供=宮城県岩沼市で2011年6月4日、小林洋子撮影
「僕がやる」と言い、塩トマトの苗を植える子供=宮城県岩沼市で2011年6月4日、小林洋子撮影

 東日本大震災で津波被害を受けた宮城県岩沼市の畑で4日、ボランティアら約80人がトマトの苗600株を植えた。熊本県八代市の農家が塩分濃度の高い干拓地で栽培している「塩トマト」が市場で高く評価されていることをヒントに、塩害被害を受けた畑で栽培・収穫を目指し、被災地の農業復興につなげようと実施した。関係者は「塩トマトを新たな特産品に育てたい」と期待している。

 東京のNPO法人「農商工連携サポートセンター」(大塚洋一郎代表理事)が岩沼市の農家の畑(約2000平方メートル)を使い、苗を植え付けるボランティアを募集した。

 熊本の「塩トマト」の実は小ぶりだが実が締まって糖度が高いのが特徴という。今回は熊本産のトマトの苗が入手できず、宮城県産を植えた。根を短く切り、畑の土に塩分を分解するバクテリアを入れるなどの工夫をした。栽培は地元の農家が引き継ぎ、8月ごろに収穫し「塩トマト」として販売する。

 同市では、津波で作付面積の約7割が浸水。排水場のポンプが壊れ塩分除去が進まず、市は農業再開には2、3年かかるとみている。畑を提供した飯塚悦男さん(62)は「地元の人々と協力して塩トマトを育てていきたい」と話した。

 塩トマトは熊本県の古川寿男さん(60)、秋代さん(60)夫婦がブランド化に成功。5月に全国代表が発表された第60回全国農業コンクール(毎日新聞社・和歌山県主催、農林水産省、和歌山市など後援)で「大震災の津波の被害を受けた東北の農業の参考になる」として特別賞受賞が決まった。【小林洋子】

毎日新聞 2011年6月4日 20時53分(最終更新 6月4日 21時49分)

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