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津波で店舗喪失 大船渡の菓子店 あす仮店舗で営業再開

仮店舗で再出発の準備に向け、菓子作りに励む大浦広さん(右)と父敏彦さん=2日午前、大船渡市大船渡町上山

 東日本大震災の津波で、店舗や工房などを失った岩手県大船渡市大船渡町の老舗菓子店「菓子工房おおうらや」が4日、仮店舗で営業を再開する。一時は断念しかけたが、家族や友人、同業者の絆で再出発を果たす。
 「おおうらや」は、海沿いにある砂子前地区で、3代目の大浦広さん(47)の祖父が戦後間もなく創業した。主力商品のアーモンドクッキーや地酒を活用した酒ケーキなどのヒット商品を生み、地元だけでなく、首都圏や関西からも贈答用の注文が舞い込むほどファンが多い。
 震災時、大浦さんは両親や3人の従業員と店で仕事をしていた。揺れが収まった後は、消防団員として防潮堤を閉める作業や住民の避難誘導に当たった後、付近の高台に逃げた。店舗、工房、住居は目の前であっという間に流された。
 家族で両親宅に身を寄せた。がれきの街を見て「店の再開は無理」と出稼ぎを考えたという。だが、妻優子さん(46)は「大船渡でもう一回やろう」と反対。同業の仲間も激励メールやケーキ作りの道具、義援金を送って後押しした。
 地元の友人の紹介で、5月に砂子前地区から約3キロ離れた高台にある上山地区の空き店舗を借り、再出発に踏み出した。
 大浦さんと共に開店準備を進める父敏彦さん(74)は「創業の地で再開できないのは悔しいが、まだ避難生活を送る同業仲間の分も頑張る」と口元を引き締める。
 なじみの顧客からは早速、誕生日ケーキの予約が5件入った。大浦さんは「一度は諦めた再開を仲間の導きで実現した。人の絆、菓子が作れることに感謝している」と語る。


2011年06月03日金曜日


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