東日本大震災で避難所生活を続ける子どもたちを励ますため、宮城県名取市の携帯小説家、斉藤亜紀子さん(35)が、子ども用の浴衣を集めている。今年も例年通り8月6日から3日間、仙台市内である「仙台七夕まつり」に浴衣を着て参加してもらう取り組み。斉藤さんは「子どもたちに、浴衣を着てお祭りに行った思い出を残してあげたい」と話している。
斉藤さんは、名取市内で車を運転中に激しい揺れを感じた。自宅は沿岸部から離れていたため津波の被害はなかったが、家の中は家具が散乱し、電気、ガス、水道が止まった。震災で、いとこの子どもや中学時代の同級生を亡くした。
震災5日後から、携帯小説のサイト上で、読者に支援物資を募った。早くから支援活動を始めたのは、幼少時代のつらい体験があるから。小学生時代に両親が離婚、母子家庭になり、ご飯が満足に食べられない日があった。「おなかをすかしている子どもたちを何とかしたい」。斉藤さんは1人で支援活動を始めた。
当初は避難所が個人物資を受け入れていなかったため、自宅避難をしている人たちに物資を届けた。現在は、土日を中心に宮城県内の避難所を回っている。これまでに全国から集まった物資は、食料や衣類など、段ボール200箱以上。4月下旬からは手作りバッグを募集し、200個ほど集まったバッグに文房具やお菓子を入れて子どもたちに配った。
現在は、仲間が15人ほどに増えた。長い支援をするために、ボランティア団体を立ち上げる予定という。
斉藤さんは「七夕まつりは、宮城県の人にとって特別なもの。子どもたちは祭りに行って笑顔になってほしい。避難所生活を送る大人にも祭りで気分転換してほしいので、大人用の浴衣も送って」と呼びかけている。
募集しているのは、浴衣(じんべえも可)、帯ひも、げた。送り先などの問い合わせは、斉藤さん(080・6059・1097)。【遠藤浩二】
2011年5月18日