皇室本押し売りにご用心
京滋で増加、高齢者狙い
民間の出版社が発行した皇室関係の本を一方的に送り付けられ、料金を請求されたとの高齢者からの相談が、京都市に相次いでいる。市は「買う意思がないなら代金を払わず、消費生活相談に連絡を」と注意を呼び掛けている。
「美智子さまの豪華写真集を買いませんか」。市内の80代夫婦宅に今月、男性の声で電話があった。妻は断ったが数日後、写真集と代金3万6千円の振込用紙が送られてきた。夫は「皇室の本が送られてきたら断りにくい。年金生活者につけ込む商法で許せない」と憤る。
京都市市民生活センターには、70~80代の高齢者や家族から「皇室関連の本が送られ、数万円の請求書が同封してあった」など同様の苦情が今年に入って毎月寄せられている。
滋賀県消費生活センターによると、県内でも2009年度に前年度より5件多い13件の相談があった。国民生活センターは「昨秋から全国的に相談が増えている。昨年の天皇皇后ご成婚50年に便乗したのでは」とみる。
経済産業省は07年、購入を断ったにもかかわらず皇室関連本と請求書を送りつけたとして、東京都の業者に特定商取引法違反(迷惑勧誘など)で業務停止命令を出した。消費者庁は「数社が名前を転々と変え、勧誘を続けている」と指摘する。
販売会社の一社は「購入を承諾された方に本を送っている。着払いで返品してもらって結構」としている。
京都市市民生活センターは「一方的契約は無効。まずは相談を」と呼び掛ける。消費者ホットライン0570(064)370。
【 2010年06月11日 08時57分05秒 】