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房総半島の磁気異常が示す「M7首都圏直下型地震」の可能性

週プレNEWS 6月4日(土)21時43分配信

 東日本大震災から3ヶ月近くが過ぎ、一時は間断なく続いた震源地付近の余震も大分数は減ってきた。だがこの1週間だけで見ても、東北地方だけでなく、新潟、茨城、千葉などを震源とする地震が頻発しており、まだまだ日本列島は不安定だ。事実、過去の「海溝型巨大地震」の例を見ても、まだ完全に安心とは言い難い状況であることが分かる。

 例えば、1707年10月28日に西日本の太平洋沿岸を襲った「宝永地震(最大M8.7)」では、翌年2月13日に本震の震源地に近い紀伊半島沖で推定M7〜8の余震が発生。また、2004年12月26日の「スマトラ沖地震(M9.1)」でも、翌年3月28日に南東へ約250キロメートル離れた海底を震源とするM8.6の大地震が起きた。巨大な本震の3、4ヶ月後に、本震に近いレベルの余震が起きた例は多い。

 しかも、今回の震災では「首都圏直下型地震」が引き起こされる危険が高いという。それを裏付けるデータが房総半島の「磁気異常」だ。海洋学者の辻維周氏によれば、房総半島北東の犬吠埼から南端の野島崎まで約200キロメートルの太平洋沿岸で、2009年頃から方位磁石の針が大きく狂う異常現象が頻発している。

 地震発生前に自然界で起こる多くの異変(宏観現象)について研究してきた、大阪市立大学名誉教授の弘原海清理学博士(今年1月逝去)は2009年の調査時に、こうした磁気異常が表す意味をこう解説している。

「房総半島と周辺海底の岩盤内部で圧力、つまり地震エネルギーが高まり、細かい亀裂が生じるときに起きる放電現象(ピエゾ効果)が地上の磁場を歪めているのでしょう。1923年の関東大震災(M7.9)の数ヶ月前にも、震源域の南東約50キロメートルの野島埼灯台でコンパスが狂い始めたそうですから、今回の磁気異常も大規模な地殻破壊(本震)が起きる前ぶれとみられます」

 弘原海博士の言葉通り、それから約1年半後に東日本大震災が起こった。そして現在、磁気異常は収まるどころかさらに拡大を続けている。調査を続けていた辻氏によると、これまで異常が見られなかった房総半島北部、さらには江東区や江戸川区といった東京湾沿岸の臨海地区でも次々と磁気異常が観測されている。なかでも、東関東自動車道の大栄PAでは東へ140度、そして酒々井PAでは磁針が南北逆転するほどの大きなズレがあったという。

 琉球大学名誉教授の木村政昭博士(海洋地質学)は、この成田を挟んだ磁気異常の分布が、今後の直下型地震の震源を特定するカギになる指摘する。

「この成田地域は、強い磁気異常が起き始めた酒々井と大栄を結ぶドーナツ状の地帯の中心に入る“地震の目”です。つまり、成田付近の千葉県北東部の地下では今、急激に岩盤が壊れ、最後に成田直下で本震が起きる危険が迫っているとしか思えません。そしてもうひとつドーナツ状の磁気異常域に囲まれたのが東京湾北部。成田と東京湾北部を震源とするM7前後の直下型地震を警戒すべきです」

(取材/有賀 訓)

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最終更新:6月4日(土)21時43分

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