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もんじゅ非常用発電機損傷 点検時に過大圧力、強度不足も
(2011年6月4日午前7時18分)
日本原子力研究開発機構は3日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の非常用ディーゼル発電機のシリンダー部が損傷したトラブルで、原因は点検でシリンダーのふたを取り外す際に過大な圧力をかけたためと発表した。損傷したシリンダーは、製造時に鉛が混入して強度不足だったことも分かった。
経済産業省原子力安全・保安院によると、鉛が混入しているシリンダーは、1987年2月から89年5月までの間に製造されている。県内では、もんじゅのほか関西電力美浜原発1号機で使用。北陸電力志賀原発1号機などでも使われており、保安院は3日、健全性の確認や交換などの措置を取り報告するよう求めた。
もんじゅでの同発電機のトラブルは昨年12月、分解点検を終えて最終段階の発電試験を行った際に起きた。12本あるシリンダーの1本で、ピストンの外筒に13カ所のひび割れを確認した。点検をしたメーカーの作業員への聞き取りなどの結果、シリンダーのふたを油圧ジャッキで取り外す際、油圧計を付けずに作業をしていたと判明。過大な圧力をかけたため破損に至ったと推定した。作業要領書に油圧計の取り付けは明記されていなかった。
また、調査の過程で鉄製のシリンダーの強度不足が確認された。製造時に鉛成分が混入し、基準の6割程度の強度しかなかった。ただ適切な油圧で作業すれば、強度不足のシリンダーでも、ひび割れは起きないという。
原子力機構は6月中に、当該発電機のシリンダーをすべて新品に交換する。作業要領書に油圧計設置を明記。ほかの2台のシリンダー計24本は強度を測定していく。
一方、関電は美浜1号機に2台ある同発電機の全シリンダーを調査。そのうち、基準を下回った2本をすでに新品に交換した。北電も志賀1号機で点検を行い、自主基準を若干下回った16本を交換することにした。
同発電機は外部電源を失った場合に緊急炉心冷却装置(ECCS)などに電力供給する重要な設備。東京電力福島第1原発事故では津波で壊れ、炉心冷却機能を失う事態になった。