菅直人首相が退陣の意向を示しながら早期の退陣を否定したことに関し、首相は3日の参院予算委員会集中審議で、鳩山由紀夫前首相との2日の会談では「何かの条件で(退陣するという)約束には全くなっていない」と述べ、退陣で合意したとする鳩山氏の主張を否定した。一方、野党は内閣不信任決議案が否決された後の首相の「ひょう変」を「否決するためのひきょうで姑息(こそく)な政治的詐欺だ」として反発を強めており、問責決議案の提出時期を探るなど首相への不信感は増している。
民主党内では、鳩山氏が首相を「ペテン師」と批判、両院議員総会の開催を求める考えだ。早期退陣を求める声は閣内からも出ており、「菅降ろし」の動きはやんでいない。
自民党の山本一太氏は同委で「キツネにつままれた気持ち。国民は全く理解できない」と非難したが、首相は「一定のめどがついた段階で、若い世代に責任を引き継ぎたい」とした発言メモを繰り返し読み上げた。
さらに首相と鳩山氏の会談をめぐって、民主党の岡田克也幹事長が「復興基本法案の成立と2次補正の編成は退陣の条件ではない」と発言したことに関し、首相は「私の認識は岡田さんと一緒」と明言した。
谷合正明氏(公明)は首相の会見に鳩山氏が強く反発したことを引き合いに、「仲間を裏切るとは本当にひきょうだ」と批判。首相は「私はどなたもだましたり裏切ったりしたという思いはない」と反論した。さらに「常識的に考えれば、ある程度の幅で『一つのめど』という言葉がある。そういう意味で使った」と述べ、退陣時期は自らの解釈で決められると主張した。
不信任案に対しては「国民の国会への期待に応えたとは思わない」と述べた。否決されたことについては「一定のめどがつくまで責任を果たせ、という結果と受け止めている」と、意欲を示した。小野次郎氏(みんな)への答弁。
一方、首相と鳩山氏の「確認文書」の作成に関与し会談にも同席した平野博文元官房長官は3日会見し、「進退について(会談前に)同意されなかったら、あんな文書ができて会談するという話にならない」と述べ、首相退陣が前提となっていたとの認識を示した。【松尾良、朝日弘行】
毎日新聞 2011年6月3日 21時31分(最終更新 6月4日 1時12分)