日系、事故後初の原子力新設案件 WH、日立GEが応札
2011/06/03
東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)と日立GEニュークリア・エナジーは、リトアニア政府が計画している原子力発電所1基の新設案件に応札した。同国政府が現地時間1日に発表した。新設炉は、09年末に閉鎖した旧ソ連時代からのイグナリオ原子力発電所の代替として、同国北東部ウテナ州ビサギナス市に建設予定。18~20年の運転開始を予定している。炉型は今夏をめどに決まる見通しで、事業規模は数千億円に達するとみられる。
今回WHは110万キロワット加圧水型軽水炉「AP1000」を、日立GEは135万キロワット級改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を提案した。東京電力福島第一原子力発電所での事故以来、日本企業が新設案件に応札したのは初めて。
東芝関係者は「AP1000には今回の震災や津波に耐えうる安全性を備えているが、今後世界規模で原子力発電所の安全性に関する規制が強まった場合でも、柔軟に対応できる提案を行っている」とした。一方、日立関係者も「津波や地震など、従来以上に安全面を強化した策を盛り込んだプランを提示した」と述べた。
イグナリオ原子力は、旧ソ連製の150万キロワット級黒鉛減速炉2基で、1984年に運開した。黒鉛減速炉は事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所と同型であるため、欧州連合(EU)諸国から安全性を懸念する声が上がっていた。このため、EUはリトアニアの同加盟条件として、イグナリオ原子力1、2号機を、それぞれ04年末と09年末までに停止するよう申し入れていた。
メーカー関係者によると、リトアニアでの新設案件をめぐっては、10年に韓国が優先交渉権を獲得したが、同年末には撤退したという。資金面などで条件が折り合わなかったもようだ。
今回応札した原子炉の建設予定地はラトビアやベラルーシの国境近隣にあることから、リトアニアでは将来的に周辺国への電力供給も視野に入れている。 (本紙1面より)
日系、事故後初の新設案件
- 06/03
衆院本会議で不信任案否決
- 06/03
北海道電、初のメガ太陽光
06/03
- 電気協会新会長に鎌田氏
06/02
- 世界最大級の発電・淡水設備
06/02
- 日本原燃、新副社長に3氏
- 06/02