BLOGOS編集部
公立学校の卒業式で国歌「君が代」を斉唱する際に、教員に起立するように指示した校長の職務命令が、憲法違反に当たるかをめぐって争われた訴訟の最高裁判決が、30日に下った。「命令には必要性、合理性がある」として、「思想・良心の自由」を保障した憲法19条に違反しないとの判断を初めて示し、損害賠償を求めていた元教諭側の上告を棄却した。
この裁判は、都立高校の元教諭(64)が、2004年3月の卒業式での斉唱時に校長の命令に反して起立しなかったことから戒告処分を受けたことがきっかけ。07年3月に定年退職する前に「嘱託職員」としての再雇用を申請したが不採用になったため、都を提訴していた。「侵略戦争の歴史を学ぶ在日朝鮮人や在日中国人の生徒に、日の丸・君が代を強制するのは良心が許さない」などと訴えた。
最高裁は判決理由の中で、卒業式などでの国歌斉唱の起立は「慣例上の儀礼的な所作」と定義した。その上で、起立を命じた職務命令について「個人の歴史観や世界観それ自体を否定するものではない」と指摘。「日の丸や君が代への敬意を示したくないと考えている人にとっては、歴史観や世界観に基づかない行動を求められる点で、思想、良心の自由を間接的に制約するが、教育上の行事にふさわしい秩序を確保するための必要性、合理性が認められる」との判断を示した。
31日付けの新聞各紙は、今回の判決を1面で大きく取り上げたが、主要紙の中で社説で論じたのは読売新聞と東京新聞の2紙のみ。「判決は当然」とする読売に対し、完全否定はしないものの「国旗・国歌については、おおらかに考えてもいいのではないか」と抵抗感を示す東京。「君が代」斉唱に対して批判的な東京新聞も、今回は若干、腰が引けた内容になっていた。
読売新聞は“最高裁の「合憲」判断は当然だ”の見出し。国旗・国歌に敬意を表すのは「国際的な常識」と強調する内容だった。
強制されるとなぜ「君が代」が裏声になるのか、全く説明がない。まるで今回の判決を批判したいのだが、批判できるポイントが少なくて無理やり捻り出したかのような印象を受けてしまった。卒業式で教師も生徒もみんなで裏声で歌っている姿を想像すると、確かにあまり気持ちいい物ではないのだが……。
<追記>
丸谷才一の小説に「裏声で歌へ君が代 」(1982年、新潮社)があることが判明。東京新聞の社説は、この本のタイトルを受けた物かもしれない。
【2紙の社説】
・君が代起立命令 最高裁の「合憲」判断は当然 - YOMIURI ONLINE(読売新聞)
・君が代訴訟 少数者の「心」も大事に - 東京新聞(TOKYO Web)
【関連記事】
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【BLOGOS特集テーマ】
君が代起立命令に合憲判決
この裁判は、都立高校の元教諭(64)が、2004年3月の卒業式での斉唱時に校長の命令に反して起立しなかったことから戒告処分を受けたことがきっかけ。07年3月に定年退職する前に「嘱託職員」としての再雇用を申請したが不採用になったため、都を提訴していた。「侵略戦争の歴史を学ぶ在日朝鮮人や在日中国人の生徒に、日の丸・君が代を強制するのは良心が許さない」などと訴えた。
最高裁は判決理由の中で、卒業式などでの国歌斉唱の起立は「慣例上の儀礼的な所作」と定義した。その上で、起立を命じた職務命令について「個人の歴史観や世界観それ自体を否定するものではない」と指摘。「日の丸や君が代への敬意を示したくないと考えている人にとっては、歴史観や世界観に基づかない行動を求められる点で、思想、良心の自由を間接的に制約するが、教育上の行事にふさわしい秩序を確保するための必要性、合理性が認められる」との判断を示した。
31日付けの新聞各紙は、今回の判決を1面で大きく取り上げたが、主要紙の中で社説で論じたのは読売新聞と東京新聞の2紙のみ。「判決は当然」とする読売に対し、完全否定はしないものの「国旗・国歌については、おおらかに考えてもいいのではないか」と抵抗感を示す東京。「君が代」斉唱に対して批判的な東京新聞も、今回は若干、腰が引けた内容になっていた。
読売新聞は“最高裁の「合憲」判断は当然だ”の見出し。国旗・国歌に敬意を表すのは「国際的な常識」と強調する内容だった。
妥当な判断である。この判決を機に、教育現場で長く続いている国旗・国歌を巡る処分や訴訟などの混乱に終止符を打つべきだ。(略)自国、他国の国旗・国歌に敬意を表すのは国際的な常識、マナーである。そのことを自然な形で子供たちに教える教育現場にしなければならない。これに対し、東京新聞は“少数者の「心」も大事に”と、それとなく批判する内容。
教員をクビにしてまで、君が代を押しつけることに、どんな深い意味があるのか。一九九九年の国旗国歌法が成立した際には、当時の小渕恵三首相は、わざわざ「新たに義務を課すものではない」と談話を発表した。野中広務官房長官も「むしろ静かに理解されていく環境が大切だ」と述べていた。少数者の思いを理解する寛容さがほしい。「君が代」を歌うこと自体は否定しないが、強制するべきではないという立場を貫いた。その上で、最後の一文に奇妙な記述があった。
判決の補足意見では「自発的な敬愛の対象となるような環境を整えることが重要」との一文があった。自然な方がいい。「歌え、歌え」と強制される君が代は、ややもすると「裏声」になる。と記事を締めている。
強制されるとなぜ「君が代」が裏声になるのか、全く説明がない。まるで今回の判決を批判したいのだが、批判できるポイントが少なくて無理やり捻り出したかのような印象を受けてしまった。卒業式で教師も生徒もみんなで裏声で歌っている姿を想像すると、確かにあまり気持ちいい物ではないのだが……。
<追記>
丸谷才一の小説に「裏声で歌へ君が代 」(1982年、新潮社)があることが判明。東京新聞の社説は、この本のタイトルを受けた物かもしれない。
【2紙の社説】
・君が代起立命令 最高裁の「合憲」判断は当然 - YOMIURI ONLINE(読売新聞)
・君が代訴訟 少数者の「心」も大事に - 東京新聞(TOKYO Web)
【関連記事】
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君が代起立命令に合憲判決
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