東京電力は4日、福島第1原発1号機の原子炉建屋1階南東で湯気が立ち上り、毎時4000ミリシーベルトの放射線量を計測したと発表した。事故後に屋内外で測定された空間線量の中では最高で、同原発事故対応に限って引き上げられた被ばく上限の250ミリシーベルトを約4分で超える高い値だ。
1号機では、原子炉圧力容器内の核燃料の大半が溶けたとされている。建屋地下1階には圧力容器を覆う格納容器の圧力抑制プールがあり、核燃料由来の高濃度の汚染水がたまっている。湯気が見つかった付近には、地下1階からつながる配管があり、壊れたプールから漏れた水が湯気となって、高濃度の放射線量が検出されたとみられる。
放射線量は、3日に遠隔操作ロボットが入って測定した。東電は「これほど高い線量が出ているのは建屋内の限定的な範囲で、従来の収束計画に大きな影響が出るとは考えていない」としている。
4000ミリシーベルトは、一般人の年間線量限度(1ミリシーベルト)の4000倍に相当し、一気に浴びると半数が死ぬとされる。【平野光芳】
毎日新聞 2011年6月4日 東京夕刊