2011年4月6日 20時40分 更新:4月6日 22時48分
海上保安庁は6日、東日本大震災の震源のほぼ真上にあたる宮城県沖の海底に設置した「海底基準点」が最大で東南東に約24メートル移動し、約3メートル隆起したことを観測したと発表した。海保は「震源付近の地殻変動を直接とらえたのは世界的にも例がないのではないか」として、11日に開かれる政府の地震調査委員会で報告する。
海保は東京大生産技術研究所の技術協力を得て、海底の地殻変動観測システムを開発。宮城県沖地震や東海・東南海・南海地震の想定震源域のうち、海側のプレートが陸側プレートの下に沈み込む境界付近の海底16カ所に音波を送受信できる海底基準点を設置し、プレートの動きを00年から観測している。
3月28~29日に海底基準点のデータを観測したところ、牡鹿半島(宮城県石巻市)の東南東約120キロ、水深約1700メートルの海底基準点「宮城沖1」が東南東に約24メートル移動し、約3メートル隆起したことが判明。約40キロ陸側の水深約1100メートルにある「宮城沖2」は東南東に約15メートル移動し、約60センチ沈下していた。塩屋崎(福島県いわき市)の東約80キロ、水深約1200メートルにある「福島沖」も東南東に約5メートル動いていた。
観測結果には震災後のプレートの動きも含んでいるが、この間の移動距離は1日数センチと見られ、「宮城沖1」は本震だけで約20メートル動いたと考えられるという。また、2基準点が隆起と沈下に分かれたことは、プレートのずれと連動した観測値と考えられるという。
陸上では、牡鹿半島に国土地理院が設置した観測点が東南東に約5.3メートル動き、約1.2メートル沈下したことが明らかになっており、震源付近の海底の移動距離は陸上の4倍以上もあったことになる。【石原聖】