2011年4月5日 21時35分 更新:4月5日 23時12分
東日本大震災や福島第1原発事故の影響は、東京都知事選にも及んでいる。これまでの都知事選に比べメディアに登場する回数が少なく、ムードは盛り上がらないまま。候補者の訴えが伝わってこないことへのもどかしさを感じる有権者もいる中、投開票日が迫る。【東京都知事選取材班】
無党派層の動向が勝敗を決すると言われる都知事選。メディア戦略は重要な柱だが、思惑通りにいっていない新人陣営が多い。
当初は名前の連呼や選挙カーの上に乗っての演説を極力控えていたワタミ創業者の渡辺美樹氏(51)。中盤からは選挙カー上からの訴えを増やした。陣営幹部は「テレビにほとんど取り上げられない。対立候補の失言も強調されない」と焦る。
無党派層への浸透が生命線の前宮崎県知事の東国原英夫氏(53)。当初は出馬会見を東京タワーで予定するなど派手なメディア戦略を練ったが、白紙になり、自転車で若さをアピールする。東国原氏は「そもそもこんな非常時に選挙をすべきでなかった」と嘆く。
共産党前参院議員、小池晃氏(50)=共産推薦=は、ガソリン不足に配慮して電車での移動を多くしているが、終盤からは街頭演説の回数を増やし、支持拡大を図っている。
新人の挑戦を受ける立場の石原慎太郎氏(78)は公務優先の姿勢を変えていない。街頭での選挙活動を一切せず、支持者向けの集会を屋内で数回行っただけ。「こんな選挙戦は初めて」と陣営に戸惑いは残るが、「リーダーシップを示すことが一番のアピールになる」との声も。
こうした選挙戦について三鷹市の男性会社員(25)は「防災やどう東京を経済発展させるのかなど、大事な選挙だと思うが、候補者の考えがあまり伝わってこない」と戸惑いを隠さない。
長年都知事選を見てきた都幹部は「盛り上がらないのは仕方がない面があるが、いいことではないと思う」と残念がる。