イラン:湾岸諸国との関係悪化 バーレーン巡り非難合戦

2011年4月5日 19時8分

 【テヘラン鵜塚健】イランとペルシャ湾岸諸国の関係が急速に悪化している。反体制デモで混乱する湾岸のバーレーンに対し、サウジアラビアなどが3月中旬に軍を派遣したことからイランが反発、これに湾岸諸国が「内政干渉だ」と非難合戦を繰り広げている。イスラム教シーア派の地域大国イランと、スンニ派が政権の主体の湾岸諸国との対立が深まれば、中東全体の不安定化につながりかねない。

 「サウジアラビアによる中東地域での火遊びは何の利益にもならない」。イラン国会の国家安全保障外交委員会は先月31日、サウジ軍のバーレーンへの介入を非難。これに対し、サウジなど湾岸6カ国で作る「湾岸協力会議(GCC)」は今月3日、リヤドで緊急外相会議を開き「(イランの言動は)内政干渉で、国際条約に反する」との声明を出した。

 バーレーンでは2月中旬からシーア派住民によるデモが続き、自国へのデモ波及を恐れるサウジなどがバーレーンに軍を派遣。先月16日にはサウジ軍がバーレーンで現地当局とともにデモ隊を弾圧し、その後も厳戒態勢を敷いている。一連のデモ犠牲者は計24人で、サウジ介入後が半数以上を占める。

 湾岸諸国は、イランがバーレーンで影響力を強めることを警戒している。だが、バーレーン国民の多くは自国政府に不満を持つが、イラン、湾岸のどちらの介入も望んでおらず「住民不在」の中で周辺国の綱引きが続く。

 また、湾岸諸国の介入には、イラクのマリキ首相(シーア派)やレバノンのシーア派武装組織ヒズボラなどシーア派勢力も警戒感を示している。

 こうした中、イランのアフマディネジャド大統領は4日の会見で、「この地域にサッカーボールを入れたのは米国だ」と語り、反米国家イランと親米の湾岸諸国との対立を米国があおっているとの認識を繰り返した。

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