2011年4月5日 20時27分 更新:4月5日 23時20分
気象庁は5日、東京電力福島第1原発の事故を受けて、国際原子力機関(IAEA)に提供している放射性物質の拡散予測を公表した。枝野幸男官房長官の指示を受けた対応だが、より詳細な政府の予測システム「SPEEDI」の情報は、1度公開されて以降は非公表というちぐはぐな対応となっている。
気象庁は、世界気象機関(WMO)が86年のチェルノブイリ原発事故を受けて作った枠組みに基づき、事故直後から4日までに計23回、IAEAに情報提供した。予測の基になるデータは放射性物質放出の実測値でなく、IAEAが示す仮定の条件を使っている。
同庁は「予測は周辺国への影響を調べるためのもの。100キロ四方ごとに計算した大ざっぱなもので、国内の原子力防災に利用できるものではないと考えている」と説明する。
気象庁は今後、予測を不定期に同庁ホームページに掲載するが、「実態を表したものではないので注意してほしい」としている。【飯田和樹】