2010年5月29日11時17分
論語が記されていることが分かった2000年以上前の竹簡=尹龍九さん提供
早稲田大の李成市教授(朝鮮古代史)は、その切れ込みが摩耗していることに注目する。「すり切れるまで一生懸命に読んで勉強したのでしょうね。その結果として役人になることができた。だから竹簡が、墓に副葬されたのでしょう」
平勢さんによると、漢字も役人用語として統一されたという。その漢字が植民地経営のために、朝鮮半島にまで広がっていたことをこの竹簡は示している。日本はまだ弥生時代で、「楽浪海中に倭人あり、分かれて百余国をなす」と漢書地理志が記したころに当たる。
日本で確認されている墨書きの文字資料としては、7世紀前半、飛鳥時代の木簡が最も古いとされるが、そこでも文字の練習に論語を書いたものが見つかっている。
漢字を覚えて論語を学ぶと立身できる――中国で始まったそんな仕組みが、東アジア世界に広く漢字を普及させた原動力の一つだったのかもしれない。(渡辺延志)
マイケル・サンデル教授のブームで時ならぬ注目を集めた「哲学」。筆者は大人気の背景に、哲学が「建設的な役割」を果たせていない日本の思想界の問題を見いだす。