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[28120] Fate/■.■■■■■
Name: 石◆a1b33524 ID:8a388b8d
Date: 2011/06/01 21:25
1.130209




「俺の計画の下準備は完了した。」


目の前にあるのは小振りな電子レンジ。
とぼけたチューリップの柄のデザインに、細身のヘッドホンが繋がっている。

仲間たちのきょとんとした間抜け面を颯爽と無視し、俺は前髪をファサァッとかき上げた。

目指すのは2010年の七月二十八日。
世界線重複により、俺の海馬に眠る3.24TBの記憶圧縮し、カー・ブラックホール の特異点を通過させ、過去の自分の脳にそっくりそのまま上書きする。
記憶のコピー&ペースト
記憶だけのタイムワープ


過去を変える。


「これより、最終ミッション『未来を司る女神』(オペレーション・スクルド)を開始する。」


電子レンジの周りからオゾンの臭い。
虹のきらめきが、一瞬あたりをにじんだような気がした。


「クックック……そうだ、俺は滅びぬ。光ある所に影が有るように、この俺もまた不滅なのだよ。
この世界線での俺は消えることになるだろう、だが俺が忘れない事だ、俺が失敗したとしても、いつしか第二第三の俺が蘇り、奴らの前に何度でも立ち上がる、フヮーハハハ!」

そして、俺はゆっくりと右手を掲げた。 ピンと人さす指を立て、天を仰ぐ。
言葉にしてみれば、それはまるで厨二病のような世迷言。

タイムリープマシンは後スイッチを一回押せば発動するようになっている。

「俺はきっと世界線変動率(ダイバージェンス)を変え、未知の世界線へと到達するであろう!」



「世界は、再構築される―――!」
そして俺は、掲げた指を勢いよく振りおろした――



それが、運命石の扉(シュタインズゲート)の選択だ。


「エル―――」
「プサイ―――」
「コングルゥ―――」



1.130209 → 4.25467











4.25467




「Anfang(セット)――」

床に描かれた魔法陣。消去の中に退去、退去の陣を四つ刻んで召喚の陣で囲む。

「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公。祖には我が太師シュバインオーグ。

「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
静かに凛は朗々とした声で召喚の呪文を唱える。陣に使ったのは本来必要とされる血液ではなく、熔かした宝石。

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

ぎりぎりになって家中の時計が一時間進んでる、などというハプニングは無い、わたしの魔力のピーク、午前二時まで後三分。

思い描く。
狙うのは最高のサーヴァント、完璧にして完全。何せわたしの手の内には触媒がある。
大きな歯車の周囲を、土星の輪のようにかすめて飛んでいく矢印。真鍮色のぐるりには『OSHMKUFA 2010』の文字が浮きだしているのが見てとれる。

この触媒と共に同封されていた手紙によると、このバッチの持ち主はただの人間に有りながら魔法を一切使わず、科学技術のみで『時間旅行』『並行世界の運営』を成し遂げた人物らしい。
手紙の主はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。

もしそれらを自在に操れるサーヴァントを使役できたとすればこの聖杯戦争、勝ったも当然である。
負けそうになれば時をさかのぼれば良い、勝てる状況に無ければ世界を移動すればよい。

それに並行世界の運営に関しては遠坂家がいつかは辿り着かなければならない物であって、詳しく話を聞いてみたりもしたい。

震える手で触媒を握りしめ、詠唱を続ける。

「――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
 
体の内で暴れるように高まる魔力。開かれた魔術回路の中を、血潮でない熱いものが駆け巡る。世界と融けそうに意識は無我に近づき、体はただ魔術を成すだけの道具となる。
 
「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よッ!!」

その瞬間、膨大な魔力が魔方陣より噴き出しそれとともに光が満ち溢れる。 

さぁ来い! わたしの、わたしだけのサーヴァント……!

光り輝く閃光は徐々にその光を失う、そして完全に光が消えサーヴァントが姿を現した、そこに立っていたのは白衣を着た男のサーヴァントだった。

何故か真下を向き、両手をプルプルさせている。

早速召喚者である凛は自分が召喚したサーヴァントのステータスを確認する。
思っていた通り、覚悟はしていたが基本スペックは低いようだ、典型的な強力な宝具を使って戦うタイプらしい。

まず先にここでの上下関係をはっきりさせるために強気で話しかけようとした矢先、そのサーヴァントは静かに笑い始めた。

「フ、フフ、フヮーハハハ!今ここに最終聖戦の勝敗は決した!」

突然大声でしゃべり始めたサーヴァントの声に、私は何が起こったのかと目を丸くする。

「この俺、狂気のマッドサイエンティストである鳳凰院凶真は、そのアインシュタインにも匹敵するIQ170の怜悧なる頭脳により、機関のあらゆる攻撃に対して時空を操ることで完全に勝利した!
俺は神に等しき存在になったのだ!そしてたどり着いたこの大いなる地平こそ、我が野望が叶う世界! 世界の支配構造はリセットされ、混沌の終末が待つであろう!
そうっ、まさにっ、これこそがシュタインズゲートの選択である!フヮーハハハハハハハハハ!。」

突然気が狂ったように笑い始めた私のサーヴァント、その目に光は宿ってなかった無かった。








―プロローグ― 完



[28120] 登場キャラステータス
Name: 石◆a1b33524 ID:8a388b8d
Date: 2011/06/01 21:30
■CLAAS 不明

マスター 遠坂凛

真名 岡部 倫太郎(鳳凰院凶真)

性別 男性

身長/体重 177cm 59kg。

属性 秩序・善 (自称・狂気)

筋力 ■□□□□ E      魔力 ■■■□□ C

耐久 ■□□□□ E      幸運 ■□□□□ E

敏捷 ■□□□□ E      宝具 ■■■■■ EX


■クラス別保有能力

対魔力:C

第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術・儀礼呪法など大がかりな魔術は防げない。


■保有スキル

陣地作成:E
科学者として、自らに有利な陣地を作り上げる。
小規模な”ラボ”の形成が可能。
 
気配遮断 C
アサシンが持つ気配遮断スキルとは別で、生前に磨かれた技術。
隠密行動に適している。

単独行動 C
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクCならば、マスターを失っても一日間現界可能。

運命探知(リーディングシュタイナー)C
世界線変動率が変化し世界が再構築された事を知覚し、前の世界線の記憶を維持できる。




所有宝具

未来ガジェット研究所(フューチャーガジェット)

ランク 不明 
詳細  不明

ラボを開く鍵。
未来ガジェット研究所内にある物を自由に取り出す事ができる。


ラボメンのバッチ

ランクA

それそのものが魔力炉となっており、英霊と化しているラボメンを独立サーヴァントとして連続召喚する事ができる。
召喚されたサーヴァントはマスター不在、E-ランク相当の単独行動スキルを保有する。









後日追加あり。



[28120] 感想返し+報告事項
Name: 石◆a1b33524 ID:8a388b8d
Date: 2011/06/01 23:42
6/1
感想で皆さんに指摘された所を色々と修正しました。
一緒に最新話も。

次の更新は一週間以内には上げたいなぁ。





にことさん

生身の人間ではないです!
一応サーヴァント。。。
紅莉栖を助ける事に失敗した世界線の岡部倫太郎の集合体と思ってくれて良いです。


てきあてさん

電話レンジ(仮)が必要としているのは、42型ブラウン管テレビが放出している電子であって、42型ブラウン管テレビではなくても大丈夫です。
42型ブラウン管テレビが放出している電子を出せるものなら代用が聞きます。



[28120] 世界線変動率 4.25467
Name: 石◆a1b33524 ID:8a388b8d
Date: 2011/06/01 23:40
4.25467






「フ…フフフ……」

なぜだろう。笑が自然とこみ上げてくる。
さっきまで紅莉栖を救うのに失敗してしまった自分の迂闊さと罪深さを呪い、あらゆることに絶望していたはずなのに。
もちろん反省はしている。
すまんかった。だが同時に、勝手に横隔膜が震えている。

「クックック、クックック…。」
聖杯戦争だって?
どのような願いすら叶えてくれるだって?

「いい年にもなって俺はなにを馬鹿な事を妄想しているのだ。」                              ねえちょっと……



サーヴァントだの。魔術だの、俺の脳内にどんどん情報が流れこまれていく。

そう、それはまるでタイムリープした後の、あの感覚に似ている。


この世界線での情報、常識を俺は思い出していく。
                                                               ねえったら……                             


なんだそれは、情報の中身は厨二病もいいところ。
実に痛々しい。

こっ恥ずかしくてたまらない。

                                                               
お前な。ちょっとそこに正座しろ。いいから座れ。あと石とか抱け。いいから。


                                                              あんた
だが――
それは、正直言って、俺は嫌いじゃない。


                                                      

「いいだろう、やってやる……!それが運命石の扉(シュタインズゲート)の選択だと言うのならばな!」   
                                                              
                                                               あんた、私のサーヴァントなわけ――――?


「我が名は狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真!聖杯戦争で勝ち抜くなど造作もない!
この俺の恐ろしさを世界に知らしめなければならないようだな! フヮーハハハハハハハハ!」          


                                                                 プツン…あっ、やばい…


薄暗い地下室の中に、俺のわざとらしい哄笑が高らかに響く。いやらしい笑みを浮かべ、口端を歪め、キメキメ顔を覆う。
少し脳裏に紅莉栖を殺してしまった時の事を思い出し、思わず涙がでそうになったが、それもこれも何もかも、フヮーハハハ! と笑い声がかき消していく。 

                    
                                                                          何よ・・・苦労してサーヴァントを呼び出したのにこの仕打ち・・・
「ク…クク……なにも………問題はない……。」
ん、なんだ、あのプルプル震えている女の子は。

                                                                          その言葉についに私は限界を超えた。
「あッたま、来たーーー!!!」

「ぶはーーーーべしっ!?」
俺は唐突に発生した風により吹き飛ばされて壁に激突する。



「そ、その右手は、令呪!お、俺のマスターか!?。」
突然の彼女の激昂に眉をひそめた。だが、彼女の右腕が光り始めるとそれは驚愕に変わった。


「ふん、いまさら気づいたって、もう手遅れよ!散々私の事無視しておいてなによ!」

「正気か!?こんなことに令呪を使うだなんて…!?」


「うるさい、うるさい、うるさーい!!!サーヴァントなら、マスターには絶対服従ってもんでしょーーーーーー!!!!」


遠坂の右手から令呪が一角消えた。


令呪による光が治まる。


「・・・・・・・。」



「はじめまして、岡部 倫太郎と申します、先ほどは失礼いたしました、はい、すいません。」


その後俺たちは軽く自己紹介をしあった後、
宝具を使えば今の令呪の使用を無かった事にできるとマスターに話し、納得させ。部屋全体になんとも言えない雰囲気が残されたまま俺はタイムリープした。




2:54 → 2:00

4.25467 → 4.25493





世界が渦を巻き、ぐにゃりと歪んだ。
生前何度も味わったはずの眩暈。

かゆいかゆいかゆいかゆいかゆいなんでもかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいしますからかゆいかゆいかゆいかゆいか許してくださいゆいかゆいかゆいかゆいかいっそゆいかゆいかゆ殺いかゆいしてかゆい

頭の中にいも虫が居る。
ナメクジかもしれない。ヒルでもよい。
とにかく極太の、ぶよぶよでねっとりしてぷるぷる震えたそれが、俺の神経線維と記憶にまんべんなく絡みついていくのを感じる。

脳がかゆい。死ぬほど痒い。
でも掻けない。

目と耳から指を突っ込んで脳みそを全部掻きだして洗面所のブラシでぐちゃぐちゃに洗い流してまとめて下水に流したい。
でも掻けない。

頭ごと叩きつけて割りたい。                                     あんた
でも掻けない。

ナノレベル以下の微細で、無数の、無数の針で、延々と脳を刺し貫かれているようだ。
脳に感覚なんてないはずなのに。でも。

でも俺の脳が。脳が。脳みそが。

痒いかゆい痒いいたいいたい気持ちいいかゆい痒いむず痒い痒いかゆい痛くてかゆいかゆくて。

「…ぅあ、あ、あ、あ、あ、あああ、ああ、あああ、あああああ。」
                                        あんた、私のサーヴァントなわけ――――?
――――――気が、狂う。

「うわぁあああぁあぁああぁあぁぁあああぁああ!!!!」


「ちょっと、な、あんたどうしたのよ!」

何かが近づいてくる。  

     
こなごなになって砕け散り、ぐちゃぐちゃに吹き飛んだはずの世界が。
色とりどりの万華鏡のようになった世界の、そのかけらの一つ一つがまるでジグソーパズルを逆再生するかのようにして視界の隅々に、、狂いそうなほど痒かった所にかちかちとハマり込んでいき――――――


俺は我に返った。


周りを見ると俺の召喚された地下室だった。

「っ…かはっ…ふぅ、ふう。」

「ちょ、ちょっと本当に大丈夫なの?まさか私またいつものやらかしちゃった?。」
心配そうに顔を覗き込んでくる遠坂凛を右手で制し、左手で額の汗を拭う。

「だ、大丈夫だうっか凛、今のは―――
未来からタイムリープしてきたのだと伝えようとしたが、それより早く凛に詰め寄られてしまったので言いきれなかった。

「ちょっと、なんであんたが私の名前を知っているのよ――ってうっか凛って何よ!うっか凛って!
確かに私の家系ってここ一番の時になにかやらかす血筋なんだけど……それより初対面のあんたに言われる筋合いが無いわよ!」

ガオーーっとバックに吠えているライオンが居るのではないかというくらいの気迫で迫ってくる凛に一瞬ちょっと泣きそうになったが鳳凰院スイッチを入れ無理やりそれを抑え込む。

「フヮーハハハハハハハハ!アインシュタインにも匹敵するIQ170のこの俺、狂気のマッドサイエンティストである鳳凰院凶真がその疑問を解決しよう!」

「鳳凰院凶真――ってそれがあんたの真名なの?」

「そう、我が真名は鳳凰院凶真、断じて岡部倫太郎やオカリンなんて軟弱な名前ではない!」

フフン、っと首を仰け反らせ上を向き、人差し指を凛に突き出しそう宣言する。

「そ、そう、それで、なんであんたは私の名前を知っていたの?」
俺の妖気にあてられたのか数歩下がりつつ俺に先ほどの質問を投げかけてくる、少し疑問に思いつつも俺はタイムリープしてきた事を簡潔に説明した。

「俺は今から約50分後の未来からタイムリープしてきた、つまり記憶だけのタイムトラベルだな。」

「タイムトラベル、凄い…。それは本当?、いやおそらく本当なのよね、もしかしてとは思ってたけど…まさか本当に…。
それじゃあその五十分後の未来で何か取り返しのつかない事が起ったのね?」

鋭い所を突いてくる。だがその取り返しのつかない事をしでかしたのはうっか凛、お前だ。


「ああ、今から約五分後、凛の事を無視し続けた俺に対して切れた凛はだな、令呪をマスターには絶対服従という馬鹿な事に使ったのだ。」


「え?」


「何安心したまえ、またうっか凛が何かうっかりをやらかしてしまったとしても、この灰色の脳細胞を持つ俺がタイムリープマシンを使い無かった事にしてやろう、フヮーハハハハハハハハ!」


・・・・・。


フヮーハハハハハハハハ!


・・・・・。


フヮーハハハハハハハハ!



・・・・・・。



フヮーハハハハハ…ぐびゃべしっ!!




笑っていると目の前になんか黒いのが顔面に飛んできて気が付いたら気絶してました。





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