作者が大きな勇気をもって初めて投稿した第一話。これから頑張ります!
サラリーマンへの宣告
俺はアニメとか漫画が昔から好きだった。
雷とか炎とかが出せればいいな。なんて事をずっと考えていた時期もあった。
しかし、そんな事が実際できる様になるわけが無いわけで、そんな現実を知っていながらもそういう思いを心の奥底に秘めたまま過ごしてしまって、もう21歳。
高卒でなんとか入った大手会社で、俺は仕事に四苦八苦しながら過ごしていた。
アニメや漫画の日々の様な面白い毎日を過ごしている訳でもなく、アニメや漫画の主人公の様に器用でもないので、人よりも怒られながら只々毎日を過ごしていた・・・。
6月中旬。
昨日の今日も飽きずに降る雨。
仕事を終電まで行っていたため、日付はすでに次の日に変わっていた。
そんな中、俺は帰路の長い道のりを手に傘を持つ事すらダルく感じながら帰っていた。
会社から電車で2時間。乗り換えを何度も行った後についた駅から徒歩20分。
そこが俺の住むアパートで、会社からは遠いが家賃は安いし、なにより念願の一人暮らしができるという事で住んでいる訳なのだが・・・。
「終電で疲れた俺にこの帰路はキツい・・・」
駅からアパートまでの道程には田んぼしか無いので、辺りは真っ暗である。
「はぁ、疲れた・・・」
だが天は、そんな俺に同情してくれなかった様で、雨が強くなり、雷が鳴り響く。
「うゎ、最悪だ!スーツは濡らしたくないのに!!」
ここからアパートまではまだ大分ある。
俺は走り出そうとして・・・走るのをやめた。
もはや手遅れだという事にに気づいたからだ。
「はぁ・・・ついてない。」
強い雨の中光散らす雷に照らされながら、ふとこれからの自分を考えてみる。
「このまま毎日なにもなく、ただ仕事を行う事だけに時間を使い、普通に歳をとって、何もなく死んでいくのだろうか・・・」
そんな、当たり前の事を呟いたその時だった。
目の前が眩いばかりに光り、
ドーーーン!!!!!!
と、雷が落ちた音がした!
ち、近いぞ。そう直感した。
落ちた場所に近すぎたのか頭がいたい。
立っているのもやっとだ。そして、ふとあることに気がついた。
「光ってる・・・?」
俺の右手が蒼白く光っている。よく見ると足も・・・いや、体全体が光っている事に気がついた。
「な・・・なんだこれ・・・」
消えかけそうな意識の中で、必死に現状を理解しようと考える。
「やべぇ・・・意識が・・・」
とうとう意識が遠くに行きそうだった。
・・・。
・・・。
・・・。
「・・・ふぅ。」
なんとか耐えた。
耐えきった。
なぜか不思議な達成感を感じ、そして・・・非常に疲れた。
しかも気が付くと、もう体は光っていなかった。
「あ・・・れ?さっきまで光っていたのに・・・?」
周りを見渡すと、雨は止んでいた。
あんな大雨で雷すら鳴っていたのに。
「・・・びしょびしょだな・・・。帰ろう。」
いつの間にか膝を着いていた俺は、ゆっくり立ち上がり、近くに吹き飛んでいた傘を拾い上た。
そして、数分前よりも更に重くなった足取りでアパートに帰った。
その後なんとか部屋にたどり着いた俺は、スーツを脱ぎ捨てベットに倒れこんだ。
さすがに寒かったので毛布をベットから引き剥がし、包まって・・・力尽きた様に寝た。
朝。
俺は、鳥の鳴き声で目を覚ました。
どうやら外は晴れているようだ。
今日は土曜日だし、もう少し寝ていようと思った。
「うーーん・・・」
「お、やっと目が覚めたか。」
・・・
・・・ん?
今どこからか女の声がしなかったか?
俺は一人暮らしだし、彼女はいないから女が来る予定もない。
管理人は爺さん婆さんだからこんな若い声ではない・・・。
まだ夢を見ているようだ。
そう思い、そのまま横になっていた。
「まーだーー寝るつもりかぁぁーー!!!」
ばきっ!!!
顔に痛みがはしる。どうやら殴られたようだ。
非常に痛い。
「っっっ!!!」
あまりの衝撃に飛び上がった俺は、周りを見渡した。
すると、ベットの横には見たことの無い女が立っていた。
きれいな黒髪のロングヘアーで身長156cm・・・くらいかな?
少し低めな感じで、気が強そうで怒っている様子の女がそこにはいた。
「やっと起きたか、この馬鹿者が!」
俺はなにも言い返せなかった。いくら殴られて目が覚めたからといって、脳がフル回転し始めるにはまだ時間がかかるようで、全く現状が理解できなかった。
「おま・・・」
「現状を理解できないって顔だな。だが、とりあえず言っておこう。」
そしてこの女は、俺がなんとかひねり出した言葉を被せてやがった。しかもまだ何か言うつもりのようで一呼吸、大きく息を吸った。
「喜べ!貴様は『異能』が使えるようになったぞ!」
「・・・ハァ?」
初めて会った女にいきなり殴られ、しかも『異能』が使えるようになった、とビシッと指を指されたときにはどうリアクションすればいいんだろうか?
残念ながら俺にその答えはわからなかったが、
・・・ただ、
繰り返されるだけの毎日が終わりを告げたという事だけはわかった。
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