被災地発・仙台港1:アウトレットから間一髪の脱出<訂正あり>
2011/03/18
東日本巨大地震がもたらした大津波は沿岸の街を飲み込み、甚大な被害をもたらした。津波は大勢の客を集める有名商業施設にも牙をむいた。3月17日に利用可能となった仙台塩釜港から800mほどの距離にある仙台市宮城野区中野の「三井アウトレットパーク 仙台港」もその一つだ。取材班は3月14日の昼に現地入りした。
仙台駅から車で30分ほど東に走ると、大破した自動車が道路を占領する異様な光景が目に入ってきた。砂にまみれた広大な駐車場の奥に佇む鉄骨造3階建ての建物が、2008年9月12日にオープンした「三井アウトレットパーク 仙台港」だ。
宮城県の主要道路である県道23号に面し、JR仙石線中野栄駅から徒歩8分。敷地面積約8万7000m2、延べ面積約3万4000m2、約120店を擁する。東北地方では最大規模のアウトレット施設として知られる。事業主は三井不動産、設計・施工は三井住友建設だ。
迅速な避難、小学校に誘導
宮城野区では震度6強を観測したが、地震そのものによる大きな建物被害は、見渡した限りでは確認できなかった。被害の多くは津波によるもののようだ。
「ここにいた人は、どちらに避難されたかご存知ですか」「施設の方はおられませんか」。施設周辺を歩いていると、友人を捜しにやってきた男性や店舗の従業員をしているという男性に声をかけられた。
「三井アウトレットパーク 仙台港」では、店舗側の迅速な行動が功を奏し、避難は比較的スムーズに進んだとみられている。施設関係者によると、現場で打ち合わせ中だった三井不動産とららぽーとマネジメント(東京都中央区)の社員、施設の警備員らが避難放送を流し、現場から約1km北西の中野栄小学校まで客を誘導した。津波がやってきたのが、数十分後だったこともあり、被害を最小限に食い止めることができたようだ。
同施設は現在も休業中。営業再開はホームページ上で知らせるという。
<訂正> 三井不動産からの申し入れにより、「三井アウトレットパーク 仙台港」の敷地内とみられる個所から撮影した写真を削除しました (2011年3月22日19時20分)
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