佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発電所2、3号機の運転再開をめぐる問題で、玄海町議会は1日、全議員で構成する原子力対策特別委員会(中山昭和委員長)を開き、町議12人のうち8人が再開に同意する意向を示した。特別委後、岸本英雄町長は「議会に示唆をいただいた」と再開同意に前向きな態度を見せながらも、「私自身の気持ちを確たるものにして九電に伝えたい。時期は特定できない」と述べ、判断を保留した。
特別委に招致された経済産業省原子力安全・保安院の山本哲也・原子力発電検査課長は、「(玄海原発2、3号機の)原子炉の運転継続や運転再開に安全上支障はない」とあらためて説明。これを受けて中山委員長が委員に意見を聞いた。
その結果、一部に安全対策の充実などを条件としながらも7人が再開同意を表明。中山委員長も委員会後の取材に対し賛意を示した。「住民の安全が守れない」と反対したのは1人、残る3人は論議継続を求めた。
特別委は、玄海原発2、3号機の運転再開に関する論議をこの日で終えた。中山委員長は「各議員の意見を聞いただけ」と説明するにとどめ、議会としての判断は見送った形で、玄海原発対策住民会議の仲秋喜道副会長は「これまで議会は原発の推進機関の役割を果たしてきた。深刻な福島原発事故を受けて、判断責任から逃げたとしか思えない」と批判した。
九電は運転再開の条件として、立地自治体である玄海町と県の「合意」を掲げており、岸本町長が今後どのような判断を示すかが焦点となる。
一方、佐賀県議会は2、3日に原子力安全対策等特別委員会(木原奉文委員長)を開き、原子力安全・保安院審議官や九電副社長の参考人招致や、古川康知事への質疑を行う。
=2011/06/02付 西日本新聞朝刊=