菅直人政権に対する内閣不信任決議案が2日、衆院本会議で否決された。県内選出の民主党議員は決議案に全員が反対し、自民党議員は賛成した。与党は菅首相の続投に期待を示す一方、野党からは早期の退陣を求める声が挙がっている。【阿部亮介】
衆院本会議では、県内選出の民主党議員4人は決議案に反対し、自民党議員2人は賛成した。首相補佐官を務める馬淵澄夫氏は「政府の一員として否決するものと考えた」、大西孝典氏は「野党の誘いに乗って民主党を内側から壊すことはできない」などと説明。同党総務委員長で同党県連代表の滝実氏と、吉川政重氏は、東日本大震災の復興を優先すべきとの考えを示した。
一方、自民党幹事長代理の田野瀬良太郎氏は「能力、指導力に期待できない」、同党政務調査副会長の高市早苗氏は「自民党から震災対策を提言してきたが、まともに実施されなかった」などと説明した。
県内組織からも菅首相への批判が相次いだ。奥山博康・自民党県連幹事長は「菅内閣では震災の復興はできない。一刻も早く退陣し、新たな体制でこの危機的状況から脱却することが必要だ」、岡史朗・公明党県本部代表は「辞めると宣言した総理がきちんと仕事ができるのか、厳しくチェックされるべき」などとするコメントを発表。沢田博・共産党県委員長は「展望も示せないままでの不信任案の提起は党略的で無責任。菅政権を信任できない評価も変わらない」、樹杉和彦・社民党県連代表は「大災害の人々の生活復権が課題。被災者に寄り添う政策の確立が急務だ」などとした。
一方、藤野良次・民主党県連幹事長は「否決で一区切り付いた。与野党問わず、震災への取り組みを一致結束して行ってほしい」とのコメントを発表した。
荒井正吾知事は「東日本の復興なしに日本の復活はあり得ない。総理には将来を見据えたスピード感あるリーダーシップを発揮していただきたい」とコメント。奈良市の仲川げん市長は「国政の機能不全を象徴している。与野党が一体となり、国会を震災復興と原発事故対策を集中議論する場にしなければならない」との談話を出した。【上野宏人】
毎日新聞 2011年6月3日 地方版