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町長不在で復興計画難航 いまだ「白紙」大槌町

難航する町の復興計画策定に生かすため、町民の意見集約を図る住民会議=5月31日、岩手県大槌町安渡小

 東日本大震災で町長と職員32人が死亡した岩手県大槌町で、復興計画の策定が難航している。トップ不在の影響は大きく、県内の被災した沿岸市町村で唯一、計画が「白紙」のままだ。町は8月末を期限に町長選の実施を急ぐが、町外に避難した住民も多く、選挙人名簿の確定にも苦慮している。足踏みする町に対し、住民らは独自に計画策定を後押しする活動を始めた。
 「トップの不在は復興の遅れにつながる」
 大槌小で5月19日に開かれた町議会議員説明会。東梅政昭副町長はこう語り、震災による統一地方選の特例法で延期されていた町長選を8月末までに実施する方針を示した。
 町長の職務代理者を務める東梅副町長は今月20日で任期満了となるため、町は近く、幹部職員による災害復興計画準備委員会を設立し、計画の基本方針を決める考え。ただ、職員の大半が仮設住宅建設や義援金の支払い業務などに追われ、できるかどうかは不透明な状況だ。
 市街地の約半分が浸水した同町の復興計画では町の中心を海側に置くのか、山側に置くのかも問われる。ある町幹部は「今後の町の在り方を決める重要な決断で、町民の負託を受けた首長の存在は不可欠」と話す。
 選挙実施には壁が立ちはだかる。選挙人名簿が確定できないことだ。
 町は町外に避難したと思われる約4000人の所在を把握していない。町民課は今月中旬にも、住民基本台帳ネットワークへ再接続し「各自治体から送られてくる町民の転出届のデータで実態把握に努める」と話す。
 町が足踏みする中、住民やボランティア有志は、町の計画策定に住民の声を届けようと「大槌復興まちづくり住民会議」を発足した。
 安渡小で5月31日開かれた初会合には約60人が出席し、「津波対策」や「海との共存した町づくり」などについて話し合った。今後、各避難所で開催した後、意見をまとめて町に要望する。
 住民会議共同代表の赤崎友洋さん(32)は「計画策定は町長が決まらなければ難しいかもしれないが、住民の意見が集約できていれば近道になる。できることからやりたい」と話している。


2011年06月03日金曜日


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