2011年6月3日7時10分
菅直人首相(64)の辞意表明で、民主党内は「ポスト菅」争いの号砲が鳴った。党内では、世代交代を進めるなら野田佳彦財務相(54)が、自民党との大連立を見据えるなら同党との太いパイプを持つ仙谷由人官房副長官(65)が、有力視されている。一方、岡田克也幹事長(57)や原口一博前総務相(51)らは、今回の内閣不信任決議案への対応をめぐって批判を浴び、出遅れたという見方が出ている。
「これで代表選だ」。首相周辺の一人は2日昼、首相の辞意表明の直後にこう語った。具体的な時期を首相は明言しなかったが、「辞任」を口にしたことで、ポスト菅を決める代表選は始まったとの認識だ。
ポスト菅の条件として、首相は2日の党代議士会で「若い世代への引き継ぎも果たしたい」と強調した。この条件をクリアする一人が野田氏だ。
当選5回。財務副大臣から財務相に昇格し、財務省内では「政策への理解度が高い」と評される。首相と二人三脚で消費増税への意欲を示し、政策路線も引き継がれる。演説のうまさや面倒見のよい性格に定評があり、党内では約20人のグループを率いる。小沢一郎元代表(69)と距離を置く「脱小沢」の筆頭格だが、小沢氏に近い参院議員も「野田氏なら支持できる」と評価する。
当選3〜5回の議員では、原発事故対応に当たっている馬淵澄夫(50)、細野豪志(39)の両首相補佐官や、海江田万里経済産業相(62)も意欲を見せている。細野氏は小沢氏が代表の時に党役員室長を務め、小沢グループ内に一定の支持があるほか、海江田氏は出身の鳩山由紀夫前首相(64)のグループに推す声がある。