日本相撲協会が2日、両国国技館での臨時理事会で7月の名古屋場所を正常開催することを決めた。放駒理事長(63)=元大関魁傑=は八百長問題の全容解明、処分、再発防止策の構築という3点セットがそろったためと本場所再開を説明した一方で、今回の八百長問題が発生した理由については「具体的には分からないが、自覚しかない」と抽象的な答えに終始した。
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なぜ八百長問題が起きたのか。この質問に放駒理事長は困惑した。「何がということは具体的には分からないのですが、研修会で講師をしていただいた井上先生がおっしゃっていたが、自覚、これしかないのかなと思う」。八百長の具体的な原因がはっきりしなければ、具体的な再発防止策も立てにくいはずだが、あいまいな返答だった。
25人の力士や親方にクロ認定をした特別調査委員会(調査委)の最終報告書には「先輩力士から依頼されて断れず」など八百長に至る構造的な問題は書かれているが、当人たちの動機は明示されていない。しかし、所管官庁の文部科学省は本場所再開にゴーサインを出した。この日の理事会は約8分で終了する“スムーズ”な決定劇だった。
八百長の原因については協会内外から意見が出ている。調査委の深澤直之委員(弁護士)は「けがなどでやむを得ず」、「結婚式を控えていたため」など過去の会見で述べている。ある親方は「生活のためというのもあるのでは」と推測した。理事長は年3回の研修で自覚を促すとしているが、それぞれの原因を取り除かなければ再発の可能性は残る。
自身の進退について理事長は「公益認定など多くの問題を抱えてますので、自分の任期の間はまっとうすべきじゃないかなという結論に達しました」と来年初場所後までの続投に意欲的だった。残りは約8カ月。これまで以上に理事長が果たすべき責任は重くなる。そうでなければ、八百長を否定しながら土俵を去った力士たちが報われない。
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