Q11.電波利用料はどうなるのか?
電波利用料は、日本でも周波数オークションの導入を検討したとき、通信事業者の反対で見送った代償措置としてできたものなので、オークションが導入されれば廃止するのが当然だ。オークションで1兆円以上の国庫収入が入れば、年間600億円程度の電波利用料がなくなっても影響はない。その代わり免許料は、今の電波利用料のように事実上の特別会計にするのではなく、一般会計に充当すべきだ。したがって財源に悩んでいる民主党にとっても、貴重な「埋蔵金」となろう。
Q12.ホワイトスペースはどうするのか?
電波を私有財産として売却するのは、本来は好ましくない。パケット無線技術を使えば、広い帯域を免許なしで「コモンズ」として共有して使えるからだ。ホワイトスペースもオークションにかけることはできるが、全国平均で200MHzもあるため、応札者が少なくてオークションが成立しなくなるリスクが大きい。また地域によってあいている帯域が違うので、2.4GHz帯のような免許不要帯として開放することが望ましい。FCCはそういう決定を行なった。
Q13. 体力のある携帯電話業者が電波を買い占めるのでは?
原口総務相は「放送業者には体力がないので、オークションになったら勝てない」と発言したが、これは誤解である。これからオークションにかけられる帯域の用途は、すべて汎用のブロードバンド無線であり、放送局(コンテンツ配信業者)がオークションに参加する可能性はない。
オークションに放送用とか通信用という区別はない。しいていえばすべて通信用であり、放送は「ダウンリンク専用の通信」にすぎない。変調方式も決める必要はなく、他の帯域に干渉しないという条件だけで周波数を割り当てる帯域免許が望ましい。
「NTTドコモのような大企業が電波を買い占める」という懸念は、今の美人投票のほうが強い。現実に700MHz帯の割り当てに参加しているのは、既存キャリアばかりである。もし100MHzをオークションにかければ、外資を含めた新規参入が起こって、新しい企業が免許を得るだろう。スロットは20MHzずつになるので、「買い占め」はできない。