取引上立場の弱い納入業者に、不当な値引きや従業員を店舗に派遣させたとして、公正取引委員会は独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で岡山市のスーパー「山陽マルナカ」に約2億円の課徴金納付命令と再発防止を求める排除措置命令を出す方針を固め、事前通知した。昨年1月施行の改正独禁法で「優越的地位の乱用」も課徴金の対象となり、正式な命令が出れば初めての適用となる。
関係者によると、被害を受けたと認定された業者には商社系列の大手食品卸や清涼飲料会社など、山陽マルナカより規模の大きな企業が複数含まれるという。公取委は、大企業であっても岡山県内で営業する際、県内最大手の山陽マルナカの意向に逆らえなかったと判断した模様だ。
関係者によると、山陽マルナカは07~10年5月、納入業者百数十社に対し不当な値下げや返品を強いたり、従業員の派遣を求め商品の陳列を手伝わせた疑いがある。
優越的地位の乱用の課徴金額は、違反企業と被害を受けた各業者との取引額の1%。改正法施行後からの行為が課徴金対象で、昨年1月から立ち入り検査のあった5月中旬までの金額で算出した。山陽マルナカは「事前通知を受け取ったのは事実だが内容についてはコメントを控える」としている。【桐野耕一】
毎日新聞 2011年6月3日 2時30分